葉色[語句情報] »
葉色
「葉色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
葉色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
をひいたのは、その小屋の前に、腕を組んでたたずんだ、十七八の若侍で、これは、朽ち
葉色の水干に黒鞘《くろざや》の太刀《たち》を横たえたのが、どういうわけか、しさい....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
。凡《すべ》ての樹《き》が裸かになった中に、この樹だけは幽鬱《ゆううつ》な暗緑の
葉色をあらためなかった。真直な幹が見渡す限り天を衝《つ》いて、怒濤《どとう》のよ....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
腹合せに縫ひたるを結び、……衣裳《いしょう》の袖口《そでぐち》は上着下着ともに松
葉色の様なる御納戸の繻子《しゅす》を付け仕立も念を入《いれ》て申分なく」という描....
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
ど、ここに書いてある種の猩々でなければ、君の描いたような痕はつけられまい。この朽
葉色の髪の毛の束も、キュヴィエの書いている獣のと同じ性質のものだ。しかし、僕には....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
張って進んでいた。 白樺や、榛や、団栗などは、十月の初めがた既に黄や紅や茶褐に
葉色を変じかけていた。露の玉は、そういう葉や、霜枯れ前の皺びた雑草を雨後のように....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
、まことに神々しい眺めである。 その神の森を遠く囲繞し、茅葺小屋や掘立小屋や朽
葉色の天幕が、幾何学的の陣形を作り、所在に点々と立っているのは、これぞ水狐族と呼....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
を見たことがあった。また短い芝草の生えた緩い傾斜で、勢揃いでもしているように、朽
葉色の蓋を反らして、ずらりと一列に立ち並んでいるのを見たこともあった。どんな場合....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
ろげし玉章を颯と繰落して、地摺に取る。 右に、湯尾峠の万年姥。針のごとき白髪、朽
葉色の帷子、赤前垂。 左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄の紋付、文金の高髷に緋の....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
目の下に声を懸けた、樵夫と覚しき一個の親仁。面長く髪の白きが、草色の針目衣に、朽
葉色の裁着穿いて、草鞋を爪反りや、巌端にちょこなんと平胡坐かいてぞいたりける。 ....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
歳?」 「十九。」 十九にしては、まだ二つ三つも若く見えるような、派手な薄|紅
葉色の、シッポウ形の友禅縮緬と水色繻子の狭い腹合せ帯を其処に解き棄てていたのが、....
「おせん」より 著者:邦枝完二
絵師鈴木晴信が錦絵をそのままの美しさ。次第に冴える三日月の光りに、あたりは漸く朽
葉色の闇を誘って、草に鳴く虫の音のみが繁かった。 「松つぁん」 「へえ」 「たし....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
た皮が何かの形に見えるといって喜んで、それを繰返して遊びました。暫くすると、その
葉色が悪くなり、弱りが見えて来ました。裏手ですから目立ちませんが、どうしたものか....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
の代りに振り照していた。その火に映った侍は三十五六の小肥りの男で、諸籠手の上に朽
葉色の直垂を着て、兵庫鎖の太刀を長く横たえていた。 こっちで彼の顔を見さだめる....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
うらに海のような、一面鏡の池がある。その傾斜面に据えた瀬戸物の床几に腰をかけて、
葉色の明りはありながら、茂りの中に、薄暗く居た一人の小男。 紅葉の中に著るく、....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
だけのことするばかり、生意気な差し出口は夢にもすまい、自分が主でもない癖に自己が
葉色を際立てて異った風を誇り顔の寄生木は十兵衛の虫が好かぬ、人の仕事に寄生木とな....