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葉蘭
「葉蘭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
葉蘭の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
クリートの階段と手摺《てす》りとがあり、階段の上がり口には蘇鉄《そてつ》や寒菊や
葉蘭《はらん》などの鉢が四つ五つ置いてあった。 露台の中央には籐《とう》の丸テ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
つならばと思った。袖垣《そでがき》に辛夷《こぶし》を添わせて、松苔《まつごけ》を
葉蘭《はらん》の影に畳む上に、切り立ての手拭《てぬぐい》が春風に揺《ふ》らつくよ....
「草枕」より 著者:夏目漱石
から」と云う。 取り上げて、障子《しょうじ》の方へ向けて見る。障子には植木鉢の
葉蘭《はらん》の影が暖かそうに写っている。首を曲《ま》げて、覗《のぞ》き込むと、....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
れた。障子の中で例の御師匠さんと下女が話しをしているのを手水鉢《ちょうずばち》の
葉蘭の影に隠れて聞いているとこうであった。
「三毛は御飯をたべるかい」「いいえ今....
「火」より 著者:横光利一
おけ》を埋めた水溜《みずため》の縁の湿っぽい土の中へ金剛石を浅くいけた。そこには
葉蘭《はらん》が沢山|生《は》えていたので、その一本の茎を中心に小さい円を描いて....
「家」より 著者:島崎藤村
だよ」 こう言って置いて、三吉は客の方へ戻った。 庭に咲いた松葉|牡丹、凌霄
葉蘭などの花の見える奥の部屋で、三吉は大きな机の上へ煙草盆を載せた。音楽や文学の....
「三月の第四日曜」より 著者:宮本百合子
眼玉の芯《しん》がズキズキ疼くような疲労を覚えた。 茶の間から掃き出したごみが
葉蘭にくっついている手洗鉢の横からあがって、サイは自分の部屋の戸をあけた。便所と....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
かに見入ったり繁みの中から水のように滴り出る小鳥の歌にじっと聴きとれたりした。一
葉蘭が花と葉と、どちらもたった一つずつの、極めて乏しい天恵の下に、それでも自分を....
「夢」より 著者:寺田寅彦
な虹の色をして、そして驚くような速さで上って行くのであった。 すぐ眼の下の汀に
葉蘭のような形をした草が一面に生えているが、その葉の色が血のように紅くて、蒼白い....
「通魔」より 著者:田中貢太郎
旧幕の比であった。江戸の山の手に住んでいる侍の一人が、某日の黄昏便所へ往って手を洗っていると手洗鉢の下の
葉蘭の間から鬼魅の悪い紫色をした小さな顔がにゅっと出た。 その侍は胆力が据って....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
ても四坪たらず、紅葉の木に桃葉珊瑚が二本、手水鉢の水落ちのきわにも手入れの届いた
葉蘭のひとむらがあって、水に打たれ染め上げたばかりの緑の色艶は眼にしみるよう、し....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
窓に、少し乱れた円髷の顔が覗いて、白々と、ああ、藤の花が散り澄ますと思う、窓下の
葉蘭に沈んで、水の装上った水盤に映ったのは、撫肩の靡いた浴衣の薄い模様です。襟う....
「妾宅」より 著者:永井荷風
、殊に手を洗う縁先の水鉢《みずばち》、柄杓《ひしゃく》、その傍《そば》には極って
葉蘭《はらん》や石蕗《つわぶき》などを下草《したくさ》にして、南天や紅梅の如き庭....
「幼年時代」より 著者:室生犀星
あげたりしていた。私の室は、私の静かさと清潔とを好む性癖によく適っていて、庭には
葉蘭がたくさんに繁っていた。庫裏には大きな暗い榎の大樹があって、秋も深くなると、....