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「葛湯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

葛湯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火事とポチ」より 著者:有島武郎
真暗なところを長い間歩いていたぼくにはたいへんうれしかった。寒いだろうといった。葛湯《くずゆ》をつくったり、丹前《たんぜん》を着せたりしてくれた。そうしたらぼく....
懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
はり、食べるのに、なんの手数もいらないからである。飲みものを好む。牛乳。スウプ。葛湯《くずゆ》。うまいも、まずいもない。ただ、摂取するのに面倒がないからである。....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
郎は寝ずにお園の看病をいたします。薬を取りに行ったついでに氷砂糖を買って来たり、葛湯《くずゆ》をしてくれたり、蜜柑《みかん》を買って来る、九年母《くねんぼ》を買....
永日小品」より 著者:夏目漱石
て来た。外套《がいとう》は抑《おさ》えられたかと思うほど湿《しめ》っている。軽い葛湯《くずゆ》を呼吸するばかりに気息《いき》が詰まる。足元は無論|穴蔵《あなぐら....
草枕」より 著者:夏目漱石
こで諦《あきら》めると、出損《でそく》なった名は、ついに腹の底へ収まってしまう。葛湯《くずゆ》を練るとき、最初のうちは、さらさらして、箸《はし》に手応《てごたえ....
道草」より 著者:夏目漱石
て、十二時過まで起きていた。彼の床に入る時には家内のものはもう皆な寐ていた。熱い葛湯《くずゆ》でも飲んで、発汗したい希望をもっていた健三は、やむをえずそのまま冷....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
もあるし、可愛《かわい》らしくもある。また馬鹿らしくもある。 余は五十グラムの葛湯《くずゆ》を恭《うやう》やしく飲んだ。そうして左右の腕に朝夕《あさゆう》二回....
冬の花火」より 著者:太宰治
枝)(あさの言う事に全く取り合わず、聞えぬ振りして)あら、もう十時よ。(立上り)葛湯でもこしらえて来ましょう。本当に、何か召し上らないと。(言いながら上手の障子....
」より 著者:徳田秋声
やりながら、心から嬉しそうに言った。 「そんなにやっては多くないか。」 中途|葛湯で一度|失敗ったことのあるのに懲りている笹村は、医師の言う通りにばかりもして....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
。飲食も、コーヒー、シトロン、紅茶などの近代的芳香の飲料と、阿倍川もち、力もち、葛湯、麦粉などの中世的粗野なる甘味が供給される。殊に私の目をひいたのは、登山者参....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
僧さんが沢山買いに来た。 コレラは門並《かどなみ》といってよいほど荒したので、葛湯《くずゆ》だの蕎麦《そば》がきだの、すいとんだの、煮そうめんだの、熱いものば....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
頃幼稚園で『キンダーブック』というのを貰って、蟻の生活の話など覚えはじめました。葛湯こしらえて、「白いコナがジャガいもからとれる」というと「フーム」とおもしろが....
生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
に麺麭と山羊乳とを食べ、それから夕方同じくその少量を取ったばかりだった。で芳子は葛湯を作ってやった。そしてその少量を与えた。それから堯は暫くして安らかに眠った。....
神仙河野久」より 著者:田中貢太郎
時おり宮地翁の許へやって来て、二三日|逗留してゆくこともあった。河野の食事は平生葛湯でそれをコップに一杯ずつ喫んでいた。 「手の懸らないいいお客さんだ」 宮地....
それから」より 著者:夏目漱石
の耳に響いた。代助には、平岡の凡《すべ》てが、あたかも肺の強くない人の、重苦しい葛湯《くずゆ》の中を片息で泳いでいる様に取れた。 「あんなに、焦《あせ》って」と....