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「葡萄棚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

葡萄棚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇遇」より 著者:芥川竜之介
《いえ》の後《うしろ》に、小さな綉閣《しゅうかく》が一軒見える。その前には見事な葡萄棚《ぶどうだな》があり、葡萄棚の下には石を畳《たた》んだ、一丈ばかりの泉水が....
星座」より 著者:有島武郎
り先、じつは俺は足の先をすでにかじられかかったんだ。けれどもだ、縁の先には大きな葡萄棚《ぶどうだな》があって、来年新芽を吹きだしたら、俺は王侯《おうこう》の気持....
薄明」より 著者:太宰治
《ざくろ》の濃緑の葉が油光りして、そうしてその真紅の花が烈日を受けてかっと咲き、葡萄棚《ぶどうだな》の青い小粒の実も、日ましにふくらみ、少しずつ重たげな長い総《....
武蔵野」より 著者:国木田独歩
ませば遠きかなたの林をわたる風の音す、はたして風声か」 同十四日――「今朝大雪、葡萄棚《ぶどうだな》堕《お》ちぬ。 夜更けぬ。梢をわたる風の音遠く聞こゆ、ああ....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
》の臭気《におい》などがしていた。湯場は新開の畠に続いて、硝子《ガラス》窓の外に葡萄棚《ぶどうだな》の釣ったのが見えた。青黒く透明な鉱泉からは薄い湯気が立ってい....
新生」より 著者:島崎藤村
こともあった。岸本等が着いたことはこれ程土地の人にはめずらしかった。入口の庭には葡萄棚《ぶどうだな》があり裏には野菜|畠《ばたけ》のあるような田舎風の家で、岸本....
蠅男」より 著者:海野十三
れて、浮浪者姿で天王寺公園に入りこんだ。 「こらッ、お前なんや?」 乾からびた葡萄棚の下に跼ったとき、ロハ台に寝ていた男がムクムクと起きあがって、帆村に剣突を....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
けられる。家の建物の前に、幾坪かの土間のあることも、農家の特色だ。この家の土間は葡萄棚などに続いて、その横に牛小屋が作ってある。三頭ばかりの乳牛が飼われている。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ちにとっても幼い時分のよい隠れ場処であったところで、木小屋の前の空地、池をおおう葡萄棚、玉すだれや雪の下なぞの葉をたれる苔蒸した石垣から、熟した栗の落ちる西の木....
」より 著者:島崎藤村
された地所までも見上げることが出来る。 二人は石段を上った。掩い冠さったような葡萄棚の下には、清水が溢れ流れている。その横にある高い土蔵の壁は日をうけて白く光....
」より 著者:島崎藤村
見て廻った味噌倉も、土蔵の白壁も、達雄の日記を読んだ二階の窓も、無かった。梨畑、葡萄棚、お春がよく水汲に来た大きな石の井戸、そんな物は皆などうか成って了った。お....
田舎教師」より 著者:田山花袋
どうしてもわからなかった。学校では暑中休暇を誰もみんな待ちわたっている。暑い夏を葡萄棚の下に寝て暮らそうという人もある。浦和にある講習会へ出かけて、検定の資格を....
蒲団」より 著者:田山花袋
るくなって、裏の酒井の墓塋の大樹の繁茂が心地よき空翠をその一室に漲らした。隣家の葡萄棚、打捨てて手を入れようともせぬ庭の雑草の中に美人草の美しく交って咲いている....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
を積んで枳殻を植え、大きな丸太を二本立て、表門があり、梅林が有りまして、此方には葡萄棚もあり其の他|種々な菓物も作ってありまして、彼是一町|許り入ると、屋根は瓦....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
そうしたもののいろ/\並んだかげに、水行場のつづきの、白い障子をたてたうちの横に葡萄棚が傾いている。――そのうしろに、門のまえの塩なめ地蔵の屋根を越して、境内の....