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「葦簀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

葦簀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青年」より 著者:森鴎外
一群と顔を合せずに済んだ。二人は又この離れを避けた。 社の東側の沼の畔に出た。葦簀を立て繞らして、店をしまっている掛茶屋がある。 「好い処ですね」と、覚えず純....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
よ、何をするんですよ、お前さん、串戯ではありません。」 社殿の裏なる、空茶店の葦簀の中で、一方の柱に使った片隅なる大木の銀杏の幹に凭掛って、アワヤ剃刀を咽喉に....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
う斜っかいに、」 と法師から打背く、と俤のその薄月の、婦人の風情を思遣ればか、葦簀をはずれた日のかげりに、姥の頸が白かった。 荷物の方へ、するすると膝を寄せ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
約束通り、焼蛤が名物だの。」 七 「そのな、焼蛤は、今も町はずれの葦簀張なんぞでいたします。やっぱり松毬で焼きませぬと美味うござりませんで、当家で....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
風から先に濡れて来る」と云う雨気で、頓てポツリ/\とやッて来ました、日覆になった葦簀に雨が当るかと思ううちに、バラ/\と大粒が降って来ました。あゝ降出して来て困....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
減思うべしで、建廻した茶屋|休息所、その節は、ビール聞し召せ枝豆も候だのが、ただ葦簀の屋根と柱のみ、破の見える床の上へ、二ひら三ひら、申訳だけの緋の毛布を敷いて....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を控えて、蘆が吐き出した茶店が一軒。薄い煙に包まれて、茶は沸いていそうだけれど、葦簀張がぼんやりして、かかる天気に、何事ぞ、雨露に朽ちたりな。 「可いじゃありま....
黒百合」より 著者:泉鏡花
いましょう。」 勇美子も夜会結びの鬢を吹かせ、雨に頬を打たせて厭わず、掛茶屋の葦簀から半ば姿をあらわして、 「石滝から来たのじゃあなくって。滝さんとお雪はどう....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
を布《し》いて切売をしていた、これは皆穢多である。その他鴨川の川原でもそこここに葦簀囲いの牛肉販売店があった。これも薩州人を始め諸藩の荒武者を得意としていたので....
水甕」より 著者:豊島与志雄
っていました。 彼はちょっと、ふらふらと眩暈に似た気持ちがしました。それから、葦簀囲いのその狭い屋内に、自分自身を巨人のように感じました。油の煮立ってる黒い揚....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
けた天気のいい朝で、時刻は五ツ半頃。 崖っぷちに、夏は納凉場《すずみば》になる葦簀張《よしずば》りの広い縁台があり、そのそばに小さな茶店が出ている。 雪《ゆ....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
けば、どうにかかいぼりができそうな工合だった。 キャラコさんは、物置小屋に古い葦簀《よしず》があったのを思い出し、小屋まで駆け戻ってそれをひと抱えかかえて来た....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
だけれども、ちょっと見霽の座敷もある。あの低い松の枝の地紙形に翳蔽える葉の裏に、葦簀を掛けて、掘抜に繞らした中を、美しい清水は、松影に揺れ動いて、日盛にも白銀の....
式部小路」より 著者:泉鏡花
十月腹を貸した母親がありましてね。こりゃ何ですって、佃島の弁天様の鳥居前に一人で葦簀張を出しているんですって。 冬枯れの寒さ中毒で、茶釜の下に島の朝煙の立たな....
春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
かっては雪がますます深く、山の斜面には雪崩の跡が所々に見える。駅の前は吹雪除けの葦簀の垣根が作られている。同車の客の土木請負師らしい人は言う。「私はこの奥羽線架....