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「葦間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

葦間の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ら姿を見せたのだった。葉子は後ろを振り返って見た。紫色に暮れた砂の上に木部が舟を葦間《あしま》に漕《こ》ぎ返して行く姿が影絵のように黒くながめられた。葉子は白|....
たき火」より 著者:国木田独歩
見えずとみれば、夕闇に白きものはそれなり。あわただしく飛びゆくは鴫《しぎ》、かの葦間《あしま》よりや立ちけん。 この時、一人の童たちまち叫びていいけるは、見よ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ものもまたなかなかに捨てがたいもので、秋告鳥《あきつげどり》の雁《かり》鳴き渡る葦間《あしま》のあたり、この世をわが世に泰平顔な太公望のつり船が、波のまにまに漂....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
の三艘でした。墨田といえば名にしおう水の里です。水から水へつづく秋のその向島に、葦間《あしま》を出たりはいったり、仏にたむけた香華《こうげ》のけむりを艫《とも》....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
。かくて、最も近い徒渉場たる十二ヶ瀬を渡ろうと急ぐや、越の殿軍甘粕近江守は川辺の葦間から一斉に鉄砲の雨をあびせたので、甲州兵悩まされながら、川の上下、思い思いに....
禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
が、いつの間にかすぐ目の前で五六度|圏《わ》を描いて舞ったかと思うと、サッと傍の葦間へ下りてしまう。 キ……キッキ…… 微かな声が聞えて来る。 「はて、小鳥....
悟浄出世」より 著者:中島敦
流沙河と墨水と赤水との落合う所を目指して、悟浄《ごじょう》は北へ旅をした。夜は葦間《あしま》に仮寝《かりね》の夢を結び、朝になれば、また、果《はて》知らぬ水底....
転機」より 著者:伊藤野枝
を迎える。いつか土手に添うた畑地はなくなって、土手のすぐ下の沿岸の、疎らになった葦間に、みすぼらしい小舟がつなぎもせずに乗り捨ててあったり、破れた舟が置きざりに....
源氏物語」より 著者:紫式部
た。例のように小さくしたほうの手紙には、 いはけなき鶴《たづ》の一声聞きしより葦間《あしま》になづむ船ぞえならぬ いつまでも一人の人を対象にして考えているの....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
(極めて微かに。) 雲の段、霧の帷よ。 上の方より今し晴れ行く。 高き梢、低き葦間に、風吹き立ちて、 忽ち物皆|散け失せぬ。 野原。 ファウスト。メ....