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蒐
「蒐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
女中は瓦斯暖炉《ガスだんろ》に火をともし、僕一人を部屋の中に残して行った。多少の
蒐集癖を持っていた従兄はこの部屋の壁にも二三枚の油画《あぶらえ》や水彩画《すいさ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ません。甥と私とはこれを聞くと、まるで綱を放れた牛のように、両方からあの沙門を目
蒐《めが》けて斬ってかかりました。いや、将《まさ》に斬ってかかろうとしたとでも申....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
、今田代君が見せてくれたのは、その麻利耶観音の中でも、博物館の陳列室や世間普通の
蒐収家《しゅうしゅうか》のキャビネットにあるようなものではない。第一これは顔を除....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
って見れば、何を捨ててもあれだけは、手に入れたいと思ったでしょう。のみならず翁は
蒐集家《しゅうしゅうか》です。しかし家蔵の墨妙の中《うち》でも、黄金《おうごん》....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
て、両肥《りょうひ》及び平戸《ひらど》天草《あまくさ》の諸島を遍歴して、古文書の
蒐集に従事した結果、偶然手に入れた文禄《ぶんろく》年間の MSS. 中から、つい....
「或る女」より 著者:有島武郎
参加した事務長で、海軍の人たちにも航海業者にも割合に広い交際がある所から、材料の
蒐集《しゅうしゅう》者としてその仲間の牛耳《ぎゅうじ》を取るようになり、露国や米....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
与《くみ》しやすしと思えば、 「偸児《どろぼう》!」と呼び懸《か》けて白糸に飛び
蒐《かか》りつ。 自糸は不意を撃たれて驚きしが、すかさず庖丁の柄《え》を返して....
「海異記」より 著者:泉鏡花
から、口い開くと咽喉から湧いて、真白な水柱が、から、倒にざあざあと船さ目がけて突
蒐る。 アホイ、ホイとどこだやら呼ばる声さ、あちらにもこちらにも耳について聞え....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
意地汚の野良犬が来て舐めよう。這奴四足めに瀬踏をさせて、可いとなって、その後で取
蒐ろう。食ものが、悪いかして。脂のない人間だ。 一の烏 この際、乾ものでも構わぬ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
は遣切れない。遣れ、構わない。」 と激しい声して、片膝を屹と立て、 「殺す気で
蒐れ。こっちは覚悟だ、さあ。ときに女房さん、袖摺り合うのも他生の縁ッさ。旅空掛け....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
というかも知れぬ。成るほど狡獪なる霊界人が、欺瞞の目的を以て、細大の歴史的事実を
蒐集し得ないとは言われない。が、到底|詐り難きは、各自に備わる人品であり風韻であ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
玩具を損失したからとて、少しも惜いとは思わない。私は這般の大震災で世界の各地から
蒐集した再び得がたい三千有余の珍らしい玩具や、江戸の貴重な資料を全部焼失したが、....
「夏目先生と滝田さん」より 著者:芥川竜之介
るそうです。まあすべてがその調子でした。震災以来は身体の弱い為もあったでしょうが
蒐集癖は大分薄らいだようです。最後に会ったのはたしか四五月頃でしたか、新橋演舞場....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
をして握るぜえ、この鯰め。)といきなり取られた手を振切って、愛吉は下駄を脱いで飛
蒐った、勢に恐れて伝六はたじたじと退ったが、附いていた若い衆がむらむらと押取り包....
「活人形」より 著者:泉鏡花
辺静になりしかば、潜かに頭を擡ぐる処を、老婆お録に見咎められぬ。声立てさせじと飛
蒐りて、お録の咽喉を絞め上げ絞め上げ、老婆が呼吸も絶々に手を合して拝むを見澄まし....