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蒙る
「蒙る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒙るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
》で相図《あいず》をすると、微笑を含んだ静な声で、
「僕は御先へ御免《ごめん》を
蒙るから。――」
これが当夜、彼の口を洩れた、最初のそうしてまた最後の言葉だっ....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
ければこそ、贖《あがな》いもあると云う次第ゆえ、やがて御主の救抜《きゅうばつ》を
蒙るのも、それがしひとりにきわまりました。罪を罪と知るものには、総じて罰と贖《あ....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
日でも二日でも遠くの方へ退いている。尤も、時にはこっちから、故とおいでの儀を御免
蒙る事がある。物干へ蒲団を干す時である。 お嬢さん、お坊ちゃんたち、一家揃って....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の一ケ条でもだ。河野英吉氏の意志から出たのなら、私はもう学者や紳士の交際は御免|
蒙る。そのかわりだ、半纏着の附合いになって撲倒すよ。はははは、えい、おい、」 ....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
腹があるから話はともすれば一方的になりやすい。 してみると四社連盟による利益を
蒙るものは必ずしも協定加入の各会社ばかりではなく、その余沢は不加入会社にまで及ん....
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
、お志万と結婚し新家庭を作れやい」 「いや、それは御免を蒙りましょう」 「御免を
蒙る。なぜだ。可哀想にお志万は、お前の出獄するのを指折りかぞえて待っていたんだぜ....
「雷」より 著者:海野十三
った。 「北鳴の旦那の櫓の上に避雷針が建てば、この近所の家は、一緒に雷除けの恩を
蒙るわけでしょうかネ」 北鳴には、松吉の質問が聞えたのか聞えなかったのか分らな....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
れた頬を手で圧えた。 「私、取って六十七歳、ええ、この年故に、この年なれば御免を
蒙る。が、それにしても汗が出ます。」 と額を拭って、咳をした…… 「何とぞいた....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
ません位ですが、心では誠に済まないことをしましたので、神様、仏様にはどんな御罰を
蒙るか知れません。 憎らしい鼻の爺は、それはそれは空恐ろしいほど、私の心の内を....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
よ。」 お雪は思切って立停まった、短くさし込んだ胸の扇もきりりとする。 「御免
蒙るッて、来ないつもりか。おい、お嬢様が御用があるッて、僕がわざわざ迎に来たんだ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
せるとって名代だよ。」 「まずそこらで可し、船がぐらぐらと来て鰻の川渡りは御免|
蒙る。」 「ここでは欄干から這込みます。」 「まさか。」 「いや何ともいえない、....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
愛吉は紋床で謂った、鴨川はその敵で親の仇とも思う怨がある、それは渠がかねて愛顧を
蒙る勝山の女お夏というのに就いたことである。 今より五日ばかりの前、振袖|立矢....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
とに免じなけりゃならないような何だ? 妹だ。……きょうだいは一つ身だと? 御免を
蒙る。血肉も骨も筋も一つに溶け合うのは恋しい可愛い人ばっかりだ。何?――きょうだ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
いてやりたいねえ。「へ、へ、唇へ喰附いて、接吻ならば希望だが、咽喉へは真平御免|
蒙る。どれ手を下ろして料理うか。と立懸られて、「あれえ、人殺し。と一生懸命、裳を....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
面に転進し遂にこれを撃破した。しかも軍隊は再び掠奪を始め、デゴの寺院すらその禍を
蒙る有様であった。 ボーリューは十二日の敗報を受けてもこれは戦場の一波瀾ぐらい....