蒲焼[語句情報] »
蒲焼
「蒲焼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒲焼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
。就中《なかんずく》おれなんぞは、――」
そこへ婆さんが勝手から、あつらえ物の
蒲焼《かばやき》を運んで来た。
その晩牧野は久しぶりに、妾宅へ泊って行く事にな....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
減った腹に鰻飯《うなぎめし》! その旨《うま》かった事! 咽《のど》から手が出て
蒲焼きを引摺《ひきず》り込むかと思われた。 翌日《あす》は茫漠たる那須野《なす....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
きんど》もみな休みで、ここの名物になっている鰯《いわし》の天麩羅や鰊《にしん》の
蒲焼の匂いもかぐことはできなかった。秋の深くなるのを早く悲しむ川岸の柳は、毛のぬ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
業で、職人や人足を目あての食い物屋ばかりが繁昌していた。 「おい、鯡《にしん》の
蒲焼はどうだ」と、半七は幸次郎をみかえって笑った。 「やあ、御免だ」 「あんまり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「ちげえねえ。戦場だからな」 「鰻でも取りますか」 「それがよかろう」 鰻の
蒲焼を註文して、二人は早い夕飯を済ませると、七月の日もかたむいて来た。露路のなか....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
貝」の方は残念ながら遠慮している。 冷奴の平民的なるに対して、貴族的なるは鰻の
蒲焼である。前者の甚だ淡泊なるに対して、後者は甚だ濃厚なるものであるが、いずれも....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
本の酒を注文したのですが、二人ともほとんど飲まないで、唯むやみに食うばかりです。
蒲焼の代りを待っているあいだに、彼は静かに言い出しました。 「実はね、わたしは今....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
えなかった。彼は素直に付いて来た。さてここの二階へあがって、飯を食う時はうなぎの
蒲焼ということに決めてあったが、酒のあいだにはいろいろの川魚料理が出た。夏場のこ....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
池のなかの石に登ったりして遊んでいる。ところで、客がその奥座敷へ通って、うなぎの
蒲焼や泥鱒鍋をあつらえた時には、かのすっぽん共は平気で遊んでいるが、もし泥鼈をあ....
「放し鰻」より 著者:岡本綺堂
出して町内のうなぎ屋へ行った。一方に放しうなぎをしていながら、一方には久し振りに
蒲焼を食おうと思い立ったのである。近所で顔を見識っていながらも、ついぞ二階へ上が....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
い魚が仕入れてございます。鰈の煮付、鯒ならば洗いにでも出来まする。そのほか海鰻の
蒲焼に黒鯛の塩焼、鰕の鬼殻焼」 「まるで品川へ行ったようだな」 「はい、みな品川....
「勝太郎」より 著者:兼常清佐
をどんなに変えても、それで民謡は決して新味を得るものではない。それはかえって鰻の
蒲焼を西洋皿に盛って、ナイフとフォクを付けて出すようなものである。歯が浮くとは正....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ない。飴の湯、かんとう焼、白玉焼、葛饅頭、粟の餅。……鰌を串にしたのだそうだが、
蒲焼など、ひとつずつ、ただその小さな看板にだけ、売名呼名をかいて、ほんのりと赤で....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
た。その頃、二人は新富町の竹葉へたびたび鰻を食いに行ったことを覚えている。竹葉の
蒲焼は普通一皿が十二銭五厘、飯が一人前三銭で、二人ともに鰻が大好きであるから必ず....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
方へ足が向く。なんだか執り着かれたような気もするのであった。墓の下の三洲園という
蒲焼屋では三味線の音が騒がしくきこえる。頼家尊霊も今夜は定めて陽気に過ごさせ給う....