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蒸し蒸し
「蒸し蒸し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒸し蒸しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
て、空も、家屋も、樹木も、黄粉《きなこ》でまぶしたようになったあげく、気持ち悪く
蒸し蒸しと膚を汗ばませるような雨に変わったある日の朝、葉子はわずかばかりな荷物を....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
らなかった。彼は見るともなしに、「例のお仲間」の方に顔を向けていた。 「こんなに
蒸し蒸しするのも太陽の黒点のせいだよ」と一番、入口のカーテンに近いところに背を向....
「蟇の血」より 著者:田中貢太郎
。 「そうですね」 女はもう何も云わなかった。 ※ 「ここですよ」
蒸し蒸しするような物の底に押し込められているような気もちになっていた讓は、女の声....
「爛」より 著者:徳田秋声
しないの。」 お増は二年ばかり附き合ってから、浅井と前後してじきに家へ帰ると、
蒸し蒸しするそこらを開け放しながら言い出した。向うの女中が火種を持って来てくれな....
「晩夏」より 著者:堀辰雄
匂を気にしながら、すこし自分達の部屋で本を読んでいたが、どうも部屋が小さいせいか
蒸し蒸しするので、窓を明け放しておいて二人ともヴェランダへ出て往った。 その隣....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
内いっぱい西日が赤あかと漲《みなぎ》っていた。圭介は下車した途端に、構内の空気の
蒸し蒸ししているのに驚いた。ふいと山の療養所の肌をしめつけるような冷たさが快くよ....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
いつしか静まり返っていった。私は急いで残りの酒と肴とを平らげて、ぷいと外に出た。
蒸し蒸しするどんよりした晩だった。空もじっとりと汗ばんでるかと思われた。煤けたま....
「土地」より 著者:豊島与志雄
気が重くのろのろと流れていた。蝉の声と小鳥の鳴声とがぱったり止んでしまうような、
蒸し蒸しする静かな瞬間があった。それでも、拓き残されてる荒地には、草木が茂り虫が....
「香奠」より 著者:豊島与志雄
彼はひょっくり姿を見せた。 母上 少し冷かになりかかったのが急に逆戻りして、
蒸し蒸しする生温かな南風が吹いて、頭がぼっとするような日でした。妻と女中とは子供....
「狐火」より 著者:豊島与志雄
あって、あんぐり口を開いていた。 五 朝から薄曇りのした、風のない
蒸し蒸しする日だった。のっぽの三公兄貴は、珍しく午後遅くまで、町の居酒屋で仲間達....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
た。すると、その窓へ、小石のあたる音がした。お力はハッとしたようであったが、 「
蒸し蒸しするのね」 と独言のように云い、立って窓際へ行き、窓を開けた。暈をかむ....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
の面には月が金色の帯を一すじ流していた。二人はまた、炎暑の日の暮れたあとがひどく
蒸し蒸しすることも話題にした。グーロフは、自分がモスクヴァの者で、大学は文科を出....
「かもめ」より 著者:神西清
コ入れを差出して)いかが? メドヴェージェンコ 欲しくないです。(間) マーシャ
蒸し蒸しすること。晩くなって、ごろごろザーッときそうね。あなたはしょっちゅう、理....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
がるんでしょう。 アーストロフ いいや、ウオトカも毎日はやらない。それに、今日は
蒸し蒸しするしな。(間)ねえ、ばあやさん。あんたと知り合いになってから、どれくら....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
はお定《き》まりの茶菓を取りにと立って行く。 「すこし明けようじゃないか。」 「
蒸し蒸しするわねえ。」と君江はいざりながら手を伸《のば》して障子を明けると、土庇....