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「蒸汽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蒸汽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
ら見ると、川は亜鉛板《とたんいた》のように、白く日を反射して、時々、通りすぎる川蒸汽がその上に眩しい横波の鍍金《めっき》をかけている。そうして、その滑《なめらか....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
た。雲母《きらら》のような波を刻んでいる東京湾、いろいろな旗を翻《ひるがえ》した蒸汽船、往来を歩いて行く西洋の男女の姿、それから洋館の空に枝をのばしている、広重....
」より 著者:芥川竜之介
に間借《まが》りをしていた。階下の輪転機《りんてんき》のまわり出す度にちょうど小蒸汽《こじょうき》の船室のようにがたがた身震《みぶる》いをする二階である。まだ一....
或る女」より 著者:有島武郎
覚えて目をさました。スティームの通って来るラディエターから、真空になった管の中に蒸汽の冷えたしたたりが落ちて立てる激しい響きが聞こえて、部屋《へや》の中は軽く汗....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
は涙ぐましい思いがした。 「今度は、いつ上京なされた?」 「昨日参りました」 「蒸汽船でか」 「はあ。神戸から乗りまして」 「それは、お疲れであろう。お八重殿は....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
まるで妊婦のオナカみたいな太った鑵を乗けその又上に茶釜の様な煙突や、福助頭の様な蒸汽貯蔵鑵を頂いた、堂々たる貨物列車用の炭水車付機関車なんです。 ところが、妙....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
雨のなかをまた急いだ。 その三は、大正二年の九月、仙台の塩竃から金華山参詣の小蒸汽船に乗って行って、島内の社務所に一泊した夜である。午後十時頃から山もくずれる....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
みが遅れたとかって船主の督促で、昨晩日が暮れてから修繕が終ると、その儘大急ぎで小蒸汽に曳航されて出渠しました。そうですねえ、今日の正午だそうですから、もう四時間....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
律的制裁が今日こそ公然と行われるんだと思った。 丁度四時半頃でもあったろう、小蒸汽の汽笛が遠くで鳴るのを聞いた。間違なくセミオン会社所有の小蒸汽の汽笛だ。「来....
南地心中」より 著者:泉鏡花
岸から離れて、さながら、東海道で富士を視めるように、あの、城が見えたっけ。 川蒸汽の、ばらばらと川浪を蹴るのなんぞは、高櫓の瓦一枚浮かしたほどにも思われず、…....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
来ているのである。見ていると、その海の急傾斜の面を、煙筒から黒い煙を吐いている小蒸汽船がことことと機関の音をさせて転覆もせずに快調にすべってゆく。エドガア・アラ....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
いから、人家の座敷下の手すりとすれずれの処をゆらりと漕いだ、河岸についてるのは川蒸汽で縦に七|艘ばかり。 「ここでも人ッ子を見ないわ。」 「それでもちっとは娑婆....
世間師」より 著者:小栗風葉
* 私は銭占屋を送って、町の入江の船着場まで行った。そこから向地通いの小蒸汽に乗るのだ。そよそよと西風の吹く日で、ここからは海は見えぬが、外は少しは浪が....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
たった。 そのころ播州と兵庫との間を二十銭の運賃で結んでいたのは百トン足らずの蒸汽船である。私は十四歳、明治二十七年の八月のことだった。次第に小さくなって行く....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
返事をした。 「これですか? これは蔵前橋です。」 僕等はそこから引き返して川蒸汽の客になるために横網の浮き桟橋へおりて行った。昔はこの川蒸汽も一銭蒸汽と呼ん....