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「蒼海〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蒼海の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
梓川の上流」より 著者:小島烏水
数代宮居を定められたところから「神垣内《かみかきうち》」と唱えるとある、綿津見は蒼海《わだつみ》のことで、今の安曇《あずみ》郡は蒼海から出たのであろう、自分は土....
草枕」より 著者:夏目漱石
目に見えぬ幾尋《いくひろ》の底を、大陸から大陸まで動いている※洋《こうよう》たる蒼海《そうかい》の有様と形容する事が出来る。ただそれほどに活力がないばかりだ。し....
海異記」より 著者:泉鏡花
はやがて、砂白く、崖蒼き、玲瓏たる江見の月に、奴が号外、悲しげに浦を駈け廻って、蒼海の浪ぞ荒かりける。 明治三十九年(一九〇六)年一月....
星あかり」より 著者:泉鏡花
崎の突端と小坪の浜でおしまわした遠浅は、暗黒の色を帯び、伊豆の七島も見ゆるという蒼海原は、ささ濁に濁って、果なくおっかぶさったように堆い水面は、おなじ色に空に連....
河明り」より 著者:岡本かの子
ただの空の星ではない。一つずつ膚に谷の刻みを持ち、ハレーションを起しつつ、悠久に蒼海を流れ行く氷山である。そのハレーションに薄肉色のもあるし、黄薔薇色のもある。....
春昼」より 著者:泉鏡花
はたり機の音。 此処よりして見てあれば、織姫の二人の姿は、菜種の花の中ならず、蒼海原に描かれて、浪に泛ぶらん風情ぞかし。 いや、参詣をしましょう。 五段の....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
見えなくなって、国中、町中にただ一条、その桃の古小路ばかりが、漫々として波の静な蒼海に、船脚を曳いたように見える。見えつつ、面白そうな花見がえりが、ぞろぞろ橋を....
薬草取」より 著者:泉鏡花
うして往って還るまで、人ッ子一人いようとは思わなかった。」 この辺唯なだらかな蒼海原、沖へ出たような一面の草を※しながら、 「や、ものを言っても一つ一つ谺に響....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
じたのでしょう。赤壁《せきへき》の賦《ふ》というのにありますね、渺《びょう》たる蒼海の一粟《いちぞく》、わが生の須臾《しゅゆ》なるを悲しみ……という気持が、どん....
まじょりか皿」より 著者:寺田寅彦
一つ欲しいと思い立ったが、今日まで機会がなかったのである。今夜買ったのは半月形で蒼海原に帆を孕んだ三本|檣の巨船の絵である。夕日を受けた帆は柔らかい卵子色をして....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
三、濃緑の海底へ 艇長フォン・エッセン男の死体が消失した、しかも蒼海の底で、密閉した装甲の中で――この千古の疑惑は、再び新しい魅力を具えて一同の....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
といって好かろう。 西岡未亡人の家にはそんなわけで、西岡医院開設当時に贈られた蒼海翁のあの雄勁な筆力を見せた大字の扁額を持ち伝えていた。鶴見が幼い観察から、急....
奇巌城」より 著者:菊池寛
。少年ははらばいながら岬の端へ出て下を覗き込んだ。少年のすぐ眼の下に底の知れない蒼海の真只中から、空中につっ立っている一つの大きな大きな巌がある。高さが四十間以....
五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
景は、こう古文書に記されてある。 「……雲の原へとぞ上りける。遙の下を見給へば、蒼海まん/\として、魂をひやせり。我にもあらぬ心地にて、なにと成りゆくやらんと覚....
西航日録」より 著者:井上円了
上を払い、暑気大いに減ずるを覚ゆ。ことに毎夕、明月中天に懸かり、四面雲影を見ず。蒼海渺茫としてただ流光の波間に躍るを見るは、また無限の趣あり。船中にはインド人の....