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「蓄財〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蓄財の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
でも十年ほど前まで某商船会社で、欧洲航路の優秀船の船長を勤めていたと云い、相当な蓄財もあるらしく退職後はこうして人里はなれた美しい海岸に邸を構えて、どちらかと云....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
で大滝庄兵衛は夫婦のほかに家族もなく、平生から心がけもよかったので、家には多少の蓄財もある。浪人しても差しあたり困るようなこともないので、僅かの家来どもには暇を....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
の禄に離れて、自活を余儀なくされた能役者の困惑は言語に絶するものであった。中には蓄財のあった家もあるが、静にそれを守り遂げる事が出来ないで、馴れない商売で損亡を....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
をもこれに代うるに躊躇せぬ。かれがその妻を去ったのもこの盆栽を疎かにしたからで、蓄財を傾けて己が棲所をしつらえたもこれ故である。 実際かれはかばかりの自然児で....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
はだんだん冷淡になる。その結果がこの怖ろしい悲劇の動機となって、相原医師に相当の蓄財のあること知っている五兵衛は、雨のふる晩に手斧を持って相原家へ忍び込み、主人....
」より 著者:織田作之助
。安二郎はもう五十になっていたが、醜く肥満して、ぎらぎら油ぎっていた。相変らず、蓄財に余念がなかった。お君が豹一に小遣いを渡すのを見て、 「学校やめた男に金をや....
影のない犯人」より 著者:坂口安吾
神妙な口ぶりではないですか。アナタは剣のかたわら骨董のブローカーなぞもやり、昔は蓄財も名人、女を口説くのも名人という人の話をきいたことがあったが、さては実談だな....
徒然草の鑑賞」より 著者:寺田寅彦
のである。一種の弁証法を用いたのであろう。 色を説いた著者はまた第二百十七段で蓄財者の心理を記述しこれに対する短評を試みている。引用された大福長者の言葉は現代....
西瓜」より 著者:岡本綺堂
という人が旧主君の供をして、静岡へ無禄移住をした。平生から用心のいい人で、多少の蓄財もあったのを幸いに、幾らかの田地を買って帰農したが、後には茶を作るようにもな....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
不幸の根があるか――知らぬはずはないと思いますがね。いざ、死なれてみると、貴女は蓄財のないことがお分りになったでしょう。どうしたら、これからやってゆけるのか――....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
だが、これも性格であるか、思想であるか、にわかに判じがたいところで、私が思想的に蓄財する可能性は少くないのである。また、私の散財が思想的な結論からきていることも....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が、妹分のために、苦にせまい。肉の薄いのは身代の痩せたのではない。大人は評判の蓄財家で、勤倹の徳は、範を近代に垂るるといっても可いのですから。 その証拠には....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
二葉亭の先人は官を罷めて聊かの恩給に衣食し、二葉亭の毎月の学費も最後の一、二年は蓄財を割いて支弁しつつ万事の希望を二葉亭の卒業後の栄達に期していたのである。であ....
俗臭」より 著者:織田作之助
て、彼は兄の伝三郎に日歩三銭の利子をとった。伝三郎は三亀雄のたんげいすべからざる蓄財振りを畏敬していたので、諾々として利子を払ったが、その利子のことで伝三郎の家....
「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
る事にこれ有り候う。さればこの障壁にして撤去せられず候いては、たといいかに彼らが蓄財し、清潔なる生活をなし、よくその健康を保全し、その生活を向上せしめたりとて、....