蓄音器[語句情報] »
蓄音器
「蓄音器〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蓄音器の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
で喋《しゃべ》っていた。漆喰《しっくい》の土間の隅《すみ》には古ぼけたビクターの
蓄音器が据えてあって、磨り滅ったダンスレコードが暑苦しく鳴っていた。 「元来僕は....
「檸檬」より 著者:梶井基次郎
以前私を喜ばせたどんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくなった。
蓄音器を聴かせてもらいにわざわざ出かけて行っても、最初の二三小節で不意に立ち上が....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ってくれた。 名前は相変らずの「蝶柳」の上にサロンをつけて「サロン蝶柳」とし、
蓄音器《ちくおんき》は新内、端唄《はうた》など粋向きなのを掛け、女給はすべて日本....
「鎖工場」より 著者:大杉栄
らだ中鎖を巻きつけた、しかしみんなに較べると多少風采のいい奴が立っていて、何だか
蓄音器のような黄色な声を出して、のべつにしゃべり立てている。「鎖はわれわれを保護....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
れたのを拭いた跡が二三ヶ所ある。外にもう一つ可笑しいことは、室内にはポータブルの
蓄音器が掛け放しになっていたが、そこに掛けてあったレコードというのがなんと赤星ジ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
に特にその感を深うするもので、いかに連合大売出しが旗や提灯で飾り立てても、楽隊や
蓄音器で囃し立てても、わたしをして一種寂寥の感を覚えしめるのは、東京市中にかの絵....
「春昼」より 著者:泉鏡花
が、手に取るばかり、しかも沈んでうつつの音楽のように聞えて来た。靄で蝋管の出来た
蓄音器の如く、かつ遥に響く。 それまでも、何かそれらしい音はしたが、極めて散漫....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
て屁理窟と机上の空論がむやみと多くなる。他人の思想をそのまま右から左に受けついで
蓄音器となる人や、他人の考えを筆にしてタイプライターとなる人が増す。運動をしない....
「恐竜島」より 著者:海野十三
、急に心配になった。 「鍛冶屋《かじや》のとんてんかんというあの音は好きらしい。
蓄音器のレコードにあるじゃないか。“森の鍛冶屋”というのがね」 「それはエンジン....
「火星探険」より 著者:海野十三
あがれるのでうれしくなってしまったらしい。ネッドは、この自動車に積んであった電気
蓄音器をかけてみようといい出した。河合もそれにさんせいしたが、電蓄がこわれていな....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
たれている。それにも拘らず、ほらあの通り、薄赤い光で照明されており、それから電気
蓄音器も鳴っている……」 「あれはこの館の中で演奏しているんじゃないんですの」 ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
いた新吉は伊太利の牧歌の声で目覚めた。朝の食事が出来たので、通い女中ロウジイヌが
蓄音器をかけて行って呉れたのだ。野は一面に野気の陽炎。香ばしい乾草の匂いがユング....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
、実を言うと、あんな田舎の丘の上で、而も殺人の現場で、オヨソその場面と飛び離れた
蓄音器のレコードの缺片などを拾い込んだ僕の方が、君よりも、どれだけ不審な思いをし....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ところ魚雷が一本だけだ。で、なるべくは大物というわけでね」 そう云って艇長は、
蓄音器の把手をまわし、「碧きドナウ」をかけた。三鞭酒を抜く、機関室からは、兵員の....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
の草花の咲いて居る芝生へ乱暴に押し入れて合羽をかけて置く。郊外へ出かける折りなど
蓄音器を積み込んで交代に操縦して行った。以前は家に鍵をかけ二三日留守にして汽車や....