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「蓋し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蓋しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、そうじゃないか。」 主税は返す言もなく、これには否応なく頷かされたのである。蓋し事実であるから。 一家一門 二十 「それから、財産は....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
う事か、革鞄の吐出した第一幕が、旅行案内ばかりでは桟敷で飲むような気はしない、が蓋しそれは僭上の沙汰で。 「まず、飲もう。」 その気で、席へ腰を掛直すと、口を....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
たに違いない。雪に真珠を食に充て、真珠をもって手を暖むとせんか、含玉鳳炭の奢侈、蓋し開元天宝の豪華である。 即時、その三本に二貫たして、円タクで帰ったが、さて....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
おける会合は、娘と婆さんとには不意に顔の合っただけであるけれども、判事に取っては蓋し不思議のめぐりあいであった。 かく停車場にお幾が演じた喜劇を知っている判事....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
を伝い、雪のカウスに、ちらちらと樹の間から射す月の影、露の溢れたかと輝いたのは、蓋し手釦の玉である。不思議と左を見詰めると、この飾もまた、光を放って、腕を開くと....
黒百合」より 著者:泉鏡花
、くさくさするので飛んだことをした、悪く思わないでおくれ。」 その平生の行は、蓋し無言にして男の心を解くべきものがあったのである。お雪は声を呑んで袂に食着いて....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
うことができず、レクタアと称する霊をして、代筆せしむるものも少くないのであった。蓋しレクタアは通信の名手で、さまで私の体力を消耗することなしに、自由に通信を行う....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
重ぬるも到底弁護の効はなかるべし。返す返すも勝氏のために惜しまざるを得ざるなり。蓋し論者のごとき当時の事情を詳かにせず、軽々他人の言に依て事を論断したるが故にそ....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
様子が、燐寸ばかりも、等閑になし得ない道理は解めるが、焚残りの軸を何にしよう……蓋し、この年配ごろの人数には漏れない、判官贔屓が、その古跡を、取散らすまい、犯す....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
観音力を念ずれば」という訓読法を用いないで、「念彼観音力」という音読法を用いる。蓋し僕には観音経の文句――なお一層適切に云えば文句の調子――そのものが難有いので....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
稼ぎにかまけましてね。」 「なぞとおっしゃる。……は、は、は。」 と笑いを手で蓋して、軽く咳した。小肥りにがっしりした年配が、稼業で人をそらさない。 「まった....
三枚続」より 著者:泉鏡花
その蝙蝠傘を脇挟んだ様子、朝夕立入る在来の男女とは、太く行方を異にする、案ずるに蓋し北海道あたりから先生の名を慕って来た者だろうと、取次は瞶めたのである。 青....
式部小路」より 著者:泉鏡花
たが、心もって嬉しそうな顔に見えなかつたのを、酌をしながらお賤も不思議に思った。蓋し生れつき面が狼に似たばかりでない。腹に暗き鬼を生ずとしてある疑心の蟠があった....
註文帳」より 著者:泉鏡花
時、二枚|立のその障子の引手の破目から仇々しい目が二ツ、頬のあたりがほの見えた。蓋し昼の間寐るだけに一間の半を借り受けて、情事で工面の悪い、荷物なしの新造が、京....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
令するにボルトリを軽々に撤退する事無く、かえって兵力増加を粧うべき事を命令した。蓋しナポレオンは墺軍の前進を知り、なるべくこれを東方に牽制してサルジニア軍との中....