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蓋を開ける
「蓋を開ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蓋を開けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
め、拝んでやれ。」 と好事に蹲込んで、溝板を取ろうとする、め組は手品の玉手箱の
蓋を開ける手つきなり。 「お止しよ、遁げるから、」 と言う処へ、しとやかに、階....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
の三座の随一、中村座ともあろうものが、上方《かみがた》役者を芯にして、顔見世月の
蓋を開けるなんざああんまりなやり方――見下げ果てた仕打ちだ――今度だけは見物も、....
「火のついた踵」より 著者:宮本百合子
だって、自由が最も必要な時期がすんでから、その必要を高唱し得るのだ。びっくり箱の
蓋を開ける前に、中から大凡《おおよそ》どんな形のものが出るか、予め教えて下さった....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
ンクの中には私がパリから持ち帰ったあらゆるものがなるべくそのままつめ込んである。
蓋を開けるとナフタリンと何か毛織物の持つ特殊な外国風の匂いとが交ってパリの下宿に....
「樹蔭雑記」より 著者:宮本百合子
仮令一枚の葉書でも、故国から来たものとなると、心持が異う。毎朝、小さい鍵で、箱の
蓋を開けるとき、自分は必ず丸い大様な書体で紙面を滑って居る母の手跡を期待して居る....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
へ投り込んで仕舞って、鉄砲は一挺も無いからどたばたして居りましたが、粥河の手箱の
蓋を開けると火縄の附いた予て用意の鉄砲があるから、これを取って千島禮三が山三郎に....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
が名し惜しも」(巻二・九三)という歌を贈った。櫛笥の蓋をすることが楽に出来るし、
蓋を開けることも楽だから、夜の明けるの「明けて」に続けて序詞としたもので、夜が明....
「鉄路」より 著者:蘭郁二郎
だ顔に、血走った眼を光らせながら、夢中になって、カマに石炭を抛込んでいる。カマの
蓋を開ける度に、パッと焔の映りが、血の塊りのように、久吉の顔に飛ついた。 『バ、....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
はらつてはいる必要がなかつた。 いつたいに寂しい小屋でときどき思い出したように
蓋を開けるが、一年のうちの大部分は戸が締まつていた。 興行の種類は人形芝居、壮....
「位牌と鼠」より 著者:田中貢太郎
けてみた。 中には十数個の阿弥陀仏とした位牌と六匹の鼠が入っていたが、鼠は箱の
蓋を開けるなりばらばらと飛び出して往った。三好家では驚いて代代幡署へ荻原の捜査方を願い出た。....
「魔都」より 著者:久生十蘭
は勿論、実直な音楽批評家までお会式の万燈ほどに提燈を持ったので、いよいよ日本座で
蓋を開けるときまると物凄いような前景気、とりわけ有閑、富豪の両階級の肩の入れ方は....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
箱を受け取った。 そして、金色燦然、またと得がたき人形の姿を見ようとして、箱の
蓋を開けると、ひどき悪臭が一益の鼻を衝いた。一益の鼻の頭は曲がらんばかりになった....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
七人も頼んで演奏して貰った。これにも莫大の出演料が必要とされた。 その代りイザ
蓋を開けると千両の役者には千両の鳴物さらにまた千両の道具、まさかに千両はかからな....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
にいうた通りの高位高官の人々が立会の上で、封のしてある甕をよく検めその封を切って
蓋を開けると、欽差駐蔵大臣が象牙の箸を持って、眼を塞ぎながら甕の中へ突っ込んで一....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
合う。そのお使いをするのも子供であった。霜にやや痛んだ赤白黄の菊の小枝が、重箱の
蓋を開けるとぷんとにおうのも、なつかしい風情であった。それよりも大きな楽しみだっ....