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蓋物
「蓋物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蓋物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
な食卓を四人の親子は囲んだ。父の前には見なれた徳利と、塩辛《しおから》のはいった
蓋物《ふたもの》とが据えられて、父は器用な手酌で酒を飲んだ。しかし不断ならば、盃....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
直に」 と中田千股という人が取次ぎますと、結構な蒔絵のお台の上へ、錦手の結構な
蓋物へ水飴を入れたのを、すうっと持って参り、 喜「お上屋敷からのお遣い物で」 ....
「黴」より 著者:徳田秋声
と、火鉢の側で繰り返された。火鉢には新しい藁灰などが入れられて、机の端には猪口や
蓋物がおかれてあった。笹村は夜が更けると、ほんの三、四杯だけれど、時々酒を飲みた....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
入の宝袋なぞ拵えてよこす。下田の金さん処のは、餡は黒砂糖だが、手奇麗で、小奇麗な
蓋物に入れてよこす。気取ったおかず婆さんからは、餡がお気に召すまいからと云って、....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
銭。
箸《はし》 五銭。 五人前。
茶呑道具 盆つき 壱円拾銭。
桃太郎の
蓋物 拾五銭。
皿 弐拾銭。 二枚。
間代日割り 六円。(三畳九円)
火箸....
「黄昏」より 著者:宮本百合子
向く拍子に、 「どう?」 と云いながら、主婦の米子が出て来た。片手に何か小さい壺
蓋物を持ち彼女は何心なく台所の様子を見に来たのに違いなかった。黒っぽいおくめの体....
「旅愁」より 著者:横光利一
の水指と、支那の慶磁の白い湯呑、それに日本物では紫野の茶碗、その横に朝鮮の鶏龍の
蓋物の鉢が一つ。中でも鶏龍の別毛鉢が一番優れて美しかったが、それらの選択の仕方に....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
どうも……一寸も通じねえのは酷いな……それから菓子を入れる皿でも蓋が出来るような
蓋物を持って来て、宜いかえ、菓子器をお願いだから……宜しく万事此処へこう置いて…....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
銭を与えたりした。 鉄面皮な甥《おい》は、すこしばかり目が出ると、今戸の浜金の
蓋物《ふたもの》をぶるさげたりして、唐桟《とうざん》のすっきりしたみなりで、膝を....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
。 箸 五銭 五人前。 茶呑道具 盆つき 壱円拾銭。 桃太郎の
蓋物 拾五銭。 皿 弐拾銭 二枚。 間代日割り 六円。(....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
て行ったと思うと、またすぐ戻って来て、 「叔父が書見の合間に舐める氷砂糖が、この
蓋物に入っている。……これを溶かして使え」 「へえ」 「なにかまだ要るものがある....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
かったので、加賀さまのお雪はたいへんに珍重された。 ……そういうぐあいに、丼や
蓋物《ふたもの》を持った面々が四列つなぎになって並んでいるのを、かきわけるように....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
し、大変朝鮮のものに近い性質を有ちます。特に椀だとか木皿だとか高坏だとか、または
蓋物や印籠の如きものなど、全く見分けのつかないものさえあります。何も朝鮮と歴史の....
「べんがら炬燵」より 著者:吉川英治
においで下され」 「いや、これは失礼」 と、伝右衛門が、真面目にうけて、田作の
蓋物を持って立ったので、二間とも、くずれるように笑った。 その声に、眼をさまし....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ゃげた鉄瓶が、触れば周りの疣々がまだ温みかけたばかしである。 そこでお盆の上の
蓋物のつまみを取って開けて見る。なんと貧弱なビスケットだ。なすった白の、薄紅の花....