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蓑
「蓑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蓑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
手先の器用や生《なま》かじりの学問で、でっちあげたものじゃげえせん。そこが大きに
蓑笠軒隠者《さりゅうけんいんじゃ》なんぞとは、ちがうところさ。」
馬琴の経験に....
「少年」より 著者:芥川竜之介
ことにした。浦島太郎は考えずとも好《い》い、漁夫の着物は濃い藍色《あいいろ》、腰
蓑《こしみの》は薄い黄色《きいろ》である。ただ細い釣竿《つりざお》にずっと黄色を....
「百合」より 著者:芥川竜之介
食わせる桑の貯《たくわ》えが足りなかったから、父や母は午頃《ひるごろ》になると、
蓑《みの》の埃《ほこり》を払ったり、古い麦藁帽《むぎわらぼう》を探し出したり、畑....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
って、磨硝子の軒の燈籠の、媚かしく寂寞して、ちらちらと雪の降るような数ある中を、
蓑を着た状して、忍びやかに行くのであった。 柏家 三十六....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
います。 公子 可、その金銀を散らし、施し、棄て、蔵を毀ち、家を焼いて、もとの破
蓑一領、網一具の漁民となって、娘の命乞をすれば可かった。 美女 それでも、約束の....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
空の美しい虹の立つ時は、地にも綺麗な花が咲くよ。芍薬か、牡丹か、菊か、猿が折って
蓑にさす、お花畑のそれでなし不思議な花よ。名も知れぬ花よ。ざっと虹のような花よ。....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
も、五十歩にたりぬ向うの辻の柳も射ない。のみならず、矢竹の墨が、ほたほたと太く、
蓑の毛を羽にはいだような形を見ると、古俳諧にいわゆる――狸を威す篠張の弓である。....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
きに、海が映って空も明い。――水上の奥になるほど、樹の枝に、茅葺の屋根が掛って、
蓑虫が塒したような小家がちの、それも三つが二つ、やがて一つ、窓の明も射さず、水を....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
一つ、水に近く晃らめいた、揖斐川の流れの裾は、潮を籠めた霧白く、月にも苫を伏せ、
蓑を乾す、繋船の帆柱がすくすくと垣根に近い。そこに燭台を傍にして、火桶に手を懸け....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
でも左右へ並ばないで、前後になって、すっと連立って通ります。 前へ立ったのは、
蓑を着て、竹の子笠を冠っていました。……端折った片褄の友染が、藁の裙に優しくこぼ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
も外套一着で、すっぽりと中折帽を被っている。が、寸の短い方は、黒の羽織に袴なし、
蓑もなしで、見っともない、その上|紋着。やがて渚に聞けば、しかも五つ紋で。――こ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
し、牛若もあれば、弥次郎兵衛もある。屋根へ手をかけそうな大蛸が居るかと思うと、腰
蓑で村雨が隣の店に立っているか、下駄屋にまで飾ったな。皆極彩色だね。中にあの三|....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
一 愉快いな、愉快いな、お天気が悪くって外へ出て遊べなくっても可いや、笠を着て、
蓑を着て、雨の降るなかをびしょびしょ濡れながら、橋の上を渡って行くのは猪だ。 ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
畑のは知らない。実際、水槽に浸したのは、真蒼な西瓜も、黄なる瓜も、颯と銀色の
蓑を浴びる。あくどい李の紅いのさえ、淡くくるくると浅葱に舞う。水に迸る勢に、水槽....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
と、継はぎの足袋に草鞋ばかり、白々とした脛ばかり、袖に杜若の影もささず、着流した
蓑に卯の花の雪はこぼれないが、見紛うものですか。引束ねた黒髪には、雨のまま水も垂....