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蔗
「蔗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蔗の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
やがて先駆者のみが知る欣びで酬われていた。語句の末が明らかになるに従って、次第に
蔗《さとうきび》を食らうがごとく、そのうちに含まれた先人未知の真理の甘味が、彼ら....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
からユーカリ、アカシヤ、カタルパ、神樹などの苗を仕入れて帰り、其他種々の水瓜、甘
蔗など標本的に試作した。好事となると実行せずに居れぬ性分で、ある時|菓樹は幹に疵....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
いた。眩《まぶ》しかった。街道の果迄見渡しても人一人見えなかった。道の右側は、甘
蔗畑《かんしょばたけ》が緑の緩やかな起伏を見せてずっと北迄続き、その果には、燃上....
「惜別」より 著者:太宰治
ている人であったが、その処方は、甚だ奇怪なもので、蘆の根だの、三年霜に打たれた甘
蔗だのを必要とした。自分は毎朝、河原へ蘆の根を掘りに行き、また、三年霜に打たれた....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
ん形のガラスびんに入れたものも当時のわれわれのためには天成の甘露であった。 甘
蔗《さとうきび》のひと節を短刀のごとく握り持ってその切っ先からかじりついてかみし....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
ト附近の猴、火金両曜ごとに自らその日と知って市中に来り、住民が屋上に供えた稲稷甘
蔗等を食い頬に貯えて去る。万一これを供えざれば大いに瞋《いか》って瓦を破ると述べ....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
海水浴場開けて都府の人士の避暑に来るが多ければ次第に繁昌する由なり。岩淵の辺|甘
蔗畑多くあり。折から畑に入るゝ肥料なるべし異様のかおり鼻を突きて静岡にて求めし弁....
「郷土的味覚」より 著者:寺田寅彦
虎杖の記憶には、幼時の本町|市の光景が密接につながっている。そうして、肉桂酒、甘
蔗、竹羊羹、そう云ったようなアットラクションと共に南国の白日に照らし出された本町....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
る。これに比ぶれば、天然樟樹の森も、椰子の林も、蘇鉄ばかりの山も、見渡す限りの甘
蔗畑も、甚だ微弱なものと云わねばならない。熱帯と亜熱帯とに亘る本島の炎暑も、さほ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
の液をあつめて、それを煮つめると、なべの底に砂糖のかたまりがのこった。その味は甘
蔗からとったものにはおとるが、料理に使うには十分である。 砂糖がどんどんできる....
「愚かな男の話」より 著者:岡本かの子
った末、それでは実際の成績の上で証拠を見せ合おうという事になった。それには互に甘
蔗を栽培して、どっちが甘いのが出来るか、それによって勝負を決しようと約束した。 ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
耕地を一巡し、製糖場を通覧し、日本移民を訪問して帰る。年中降雨なき地なれば、毎日
蔗田へ灌漑をなす。山には一根の草木なく、道には灰のごとき塵土深くして靴を没するに....