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蔽
「蔽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蔽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
ん》。
10
この男の前を向いた顔。彼は、マスクに口を
蔽《おお》った、人間よりも、動物に近い顔をしている。何か悪意の感ぜられる微笑《び....
「父」より 著者:芥川竜之介
またその運動が、声とも音ともつかないものになって、この大きな建物の中を霧のように
蔽《おお》っている。しかし能勢の父親だけは動かない。この現代と縁のない洋服を着た....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
なかった。)彼の家に集まった人々は重吉夫婦に悔みを述べた上、白い綸子《りんず》に
蔽《おお》われた彼の柩《ひつぎ》の前に焼香した。が、門を出る時には大抵彼のことを....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
あの女菩薩《にょぼさつ》の画像《えすがた》を親子のものの頭《かしら》の上に、日を
蔽う如くさしかざすと、
「天上皇帝の御威徳は、この大空のように広大無辺じゃ。何と....
「影」より 著者:芥川竜之介
い》が、何歩か先に黒々と、現われて来たからばかりではない、その常春藤《きづた》に
蔽《おお》われた、古風な塀の見えるあたりに、忍びやかな靴の音が、突然聞え出したか....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
で黒幕でも垂らしたように、椎《しい》の樹《き》松浦《まつうら》の屋敷の上へ陰々と
蔽いかかったまま、月の出らしい雲のけはいは未《いまだ》に少しも見えませんでした。....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は見せないから、――」
お蓮は派手な長襦袢《ながじゅばん》の袖に、一挺の剃刀を
蔽《おお》ったなり、鏡台の前に立ち上った。
すると突然かすかな声が、どこからか....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
ない、不思議な寂しさに襲われた。彼の頭の上には、大きな蒼空《あおぞら》が音もなく
蔽《おお》いかかっている。人間はいやでもこの空の下で、そこから落ちて来る風に吹か....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
やがて御釈迦様はその池のふちに御佇《おたたず》みになって、水の面《おもて》を
蔽《おお》っている蓮の葉の間から、ふと下の容子《ようす》を御覧になりました。この....
「葱」より 著者:芥川竜之介
》が、その一枚のレタア・ペエパアを飜《ひるがえ》して、鬱金木綿《うこんもめん》の
蔽《おお》いをかけた鏡が二つ並んでいる梯子段《はしごだん》の下まで吹き落してしま....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
いるが早いか、急に悪夢から覚めたごとく、猛然と身を飜《ひるがえ》して、相手の上に
蔽《おお》いかぶさった大岩を向うへ押しのけようとした。が、彼がまだ手さえかけない....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
する為にするものだった。――宮本武蔵伝読後。
ユウゴオ
全フランスを
蔽《おお》う一片のパン。しかもバタはどう考えても、余りたっぷりはついていない。
....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
」
彼等は互に抱《だ》き合ったなり、じっと長椅子に坐っていた。北京《ペキン》を
蔽《おお》った黄塵《こうじん》はいよいよ烈しさを加えるのであろう。今は入り日さえ....
「初雪」より 著者:秋田滋
と、サント・マルグリット島とサント・オノラ島が、波のうえにぽっかり浮び、樅の木に
蔽われたその島の背を二つ見せている。 この広い入江のほとりや、カンヌの町を三方....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
きどきした。ああ、いつかの小鳥の心臓! 私は子供の死体を溝に投げ込んでそれを草で
蔽うた。 それから、私は家に帰り、食事をした。食事は美味かった。なんて他愛のな....