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蕚
「蕚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蕚の前後の文節・文章を表示しています。該当する5件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「薤露行」より 著者:夏目漱石
。舟は波に浮ぶ睡蓮《すいれん》の睡れる中に、音もせず乗り入りては乗り越して行く。
蕚《うてな》傾けて舟を通したるあとには、軽《かろ》く曳《ひ》く波足と共にしばらく....
「荷花公主」より 著者:田中貢太郎
れを取って彭に渡した。それは紺碧の色をした甘い匂いのする物であった。 「これは緑
蕚夫人から戴いた物でございます」 彭はそれを飲みながら不思議な周囲にその眼を向....
「夜の若葉」より 著者:宮本百合子
いつもうちの離れの前栽の景色にきまっていた。 茶室づくりの離れの前栽には、松や
蕚などがひっそり植えこまれていて、暑い昼間、蜥蜴《とかげ》が走った。小さい桃子の....
「旅愁」より 著者:横光利一
答えるものは誰もなかった。
常緑樹の中に混っていた白い梅の花が、さも息苦しげに
蕚から煙を吐いていた。
竈場の者さえ扉の合せ目を直しに行くものもなく、捨てられ....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
わち弱気から生まれない表現などありはしない。 果実が落ちるのは、これをささえる
蕚《がく》の根本の力が足りないということだ。僕の理想論は、この支える力がより強く....