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蕩す
「蕩す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蕩すの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
分は放蕩をする資格のないものが多い。また放蕩家をもって自任する連中のうちにも、放
蕩する資格のないものが多い。これらは余儀なくされないのに無理に進んでやるのである....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
ねばなりません。――騎馬の方々、急いで下さい。 燈籠一つ行き、続いて一つ行く。漂
蕩する趣して、高く低く奥の方深く行く。 舞台|燦然として明るし、前の琅※殿|顕る....
「海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
白いナーシサス、薄藤色の桜草は やや疲れ 仄かに花脈をうき立たせ乍らも 心を
蕩す優しさで薫りを撒く。 此深い白昼の沈黙と 溢れる光明《ひかり》の裡に座して ....
「露西亜の実生活」より 著者:宮本百合子
のために五日週間、衝撃隊(生産に従事する労働者の能率増進の特志団)、官僚主義を掃
蕩するための軽騎隊などを組織して、工場内ばかりでなく住宅問題、消費組合の問題を扱....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
昔は遊郭妓樓の艶めかしい三弦の音を聞きかつ聴きして、白粉の香にむせぶ雰囲気中に遊
蕩する粋な別天地であったが、星移り物換った今日ではもはや往きし昔の面影もなく、た....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
と形式のほかのどんな場所でもあり得ない。蓋し一たん縹渺たる音楽の世界へ放たれて揺
蕩する彼のリアリズム精神は、再び地上に定着されるや、ほかならぬその形式のもとに安....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
の財源を枯渇せしめている目下の宿痾は、アイルランドの反乱であるが、それを完全に掃
蕩する唯一の望みは、スペインとの講和に存している。同時にイングランドは、全アイル....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
いてはなりません。私たちは真理に対する強い信頼の力を呼び起して、あらゆる誤解を掃
蕩すべく励まねばなりません。これこそ人生の使命の一つであります。しかし、その掃蕩....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
軍東征の時、この御堂の前に通夜し悪龍を射斃したことがある。頃しも六月の始め、金を
蕩す炎暑にたちまち指を落すばかりの寒気起り、積雪尺に余りしを以て、人夫|燎を焼い....