蕪雑[語句情報] » 蕪雑

「蕪雑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蕪雑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
くこの自分のことばに首肯することができるだろうと思う。 自分は最後にこの二篇の蕪雑《ぶざつ》な印象記を井川恭氏に献じて自分が同氏に負っている感謝をわずかでも表....
弓町より」より 著者:石川啄木
詩は古典的でなければならぬとは思わぬけれども、現在の日常語は詩語としてはあまりに蕪雑《ぶざつ》である、混乱している、洗練されていない。という議論があった。これは....
ふもれすく」より 著者:辻潤
る。恐らくこの恋愛は僕の生きている限り続くであろう。野枝さんの場合におけるが如き蕪雑にして不自然なものではなく、僕の思想や感情がようやく円熟しかけてきてからの恋....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
がないのだ。縦令外面的な生活が複雑になろうとも、言葉の持つ意味の長い伝統によって蕪雑になっていようとも、一人の詩人の徹視はよく乱れた糸のような生活の混乱をうち貫....
食魔」より 著者:岡本かの子
った。感銘は一度限りであった。引き返してトンネル横町を徘徊してもただ汚らしく和洋蕪雑に混っている擬いものの感じのする街に過ぎなかった。それゆえ彼は、蛍雪館へ教え....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うなんて、なんという悪魔的な復讐でしょう。しかしダンネベルグ夫人のは、そういった蕪雑な目撃現象ではありません」 聴き終ると、鎮子は微かな驚異の色を泛べたが、別....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
の真伝記を完成する事が出来たならば、筆者の幸福これに過ぐるものはない。ただ粗漏|蕪雑のまま大体を取纏めて公表を急がなければならなくなった筆者の苦衷を御諒恕の程幾....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
好事者にのみ許された特権であろう。しかしあまりにも無作法にこの特権を濫用したこの蕪雑なる一編の放言に対しては読者の寛容を祈る次第である。はじめは、いくらか系統的....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
学自身の危機をも顧みず、却って之を善いことにして、之によって神等々に就いて、甚だ蕪雑な概念をしか持っていないのである。だから物理学者の間でも、この問題に対する解....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
を地球上にユニイクな市街だと思う。その光りと影、その廃頽と暗示、私は哈爾賓の持つ蕪雑な詩趣を愛する。 そこでは、この夜更けにも夕ぐれの色とにおいが隈なく往きわ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
いま私たちが、その単純さ、その噪がしい華やかさ、そのロンドンらしい「遵奉されたる蕪雑さ」において、この「巷の詩」のもつ調子とすこしも変らないものを見出し得る町が....
獄中消息」より 著者:大杉栄
う筈はあるまい。少なくとも以前に僕が、いやいやながらに怠け怠けてやっていたような蕪雑な粗漏のないことを信じて安心している。 広告はよくあれだけ取れたね。大いに....
耳と目」より 著者:寺田寅彦
も有効に建設すべきであろうと思う。 匆卒の間に筆を執ったためにはなはだ不秩序で蕪雑な随感録になってしまったが、トーキーの研究者に多少でも参考になることができた....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
と思わるるかも知れぬ。」 兼好は独りで笑いながら机の前に戻ったが、やがて夜食の蕪雑炊でも焚く支度をするらしく、奥から土鍋と青い野菜とを持ち出して来て、庭の筧の....
学究生活五十年」より 著者:津田左右吉
き上げた。出版せられたのは三十年の半ばころであったかと思う。後から見ると、全体が蕪雑でもあり、筆を執ったぼくの知識の足らぬために、著者としての先生の名を辱かしめ....