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「薄々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
との関係だけは聞いていた。』三浦『じゃ、僕の妻と妻の従弟との関係は?』私『それも薄々推察していた。』三浦『それじゃ僕はもう何も云う必要はない筈だ。』私『しかし―....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
、この頃ではただぼんやりと沈んでいるばかりになりましたが、その元気のない容子が、薄々ながら二人の関係を感づいていた母親には、新しい心配の種になったのでしょう。芝....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
気持を終生忘れることができない。二、三日前飛んできたB29のまいたビラを読んで、薄々は感づいていたものの、まるで全身が空洞になったような虚脱感に襲われた。私はこ....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
煙草の煙は白い輪を画いて、彼の猟帽の端から頭近くのぞいた楢の葉に砕かれたり、或は薄々と虚空へ消えていったりする。立ち上ってこれから先きの連山に対してあれかこれか....
三枚続」より 著者:泉鏡花
小さな築山の裾を繞ると池がある。この汀を蔽うて棚の上に蔓り重る葡萄の葉蔭に、まだ薄々と開いたまま、花壇の鉢に朝顔の淡きが種々。 あたかもその大輪を被いだよう、....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ますまいが、自分がお夏さんの世話をしておいでだった光起(山の井医学士の名)さん。薄々青柳町に囲ってある、妾だ妾だという風説なきにしもあらずだったもんですから、多....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
布を、直ぐに使って一包み、昨夜の一刀を上に載せて、も一つ白布で本包みにしたのを、薄々沙汰は知っていながら、信心堅固で、怯気ともしないで、一件を小脇に抱える。 ....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
のを嫁にする気かしらんなどと専《もっぱら》いうているとの話。それやこれやのことが薄々二人に知れたので、僕から言いだして当分二人は遠ざかる相談をした。 人間の心....
」より 著者:犬田卯
――それらは催促してみたがてんで埓があかず、いや、それらの小農民たちの生活内情を薄々ながら知るに及んで、むしろ何も深く知らず催促などした自分の不明が恥かしくさえ....
女の話・花の話」より 著者:上村松園
三年から四、五年どこの、女風俗を画いております。 あの頃のことは、私も幼な心に薄々と覚えておりまして、思い出してみても物なつかしいような気がいたします。 図....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
っていたかも知らぬが、平の社員は受渡しの済んだ当日になっても知らなかった。中には薄々感づいて沼南の口占を引いて見たものもあったが、その日になっても何とも沙汰がな....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
野獣の眼が暗夜に輝くという、そこまでには至らずとも、とにかく普通の者に比べると、薄々ながら見えるのであった。 四 何心なく源八郎は裏山の方を透し....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
岡山に立還った。 七 野末源之丞の屋敷へ呼出された半田屋九兵衛。薄々娘との関係を感付かぬでもなかったので、これはきっと金三郎様に取られぬ前に、娘....
獄中記」より 著者:大杉栄
お尋ねだ。何か途方もない大きな事件が起きて、幸徳を始め大勢拘引されたということは薄々聞いていた。その知っただけのことを、またどうしてそれを知ったのか、監獄の取締....
或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
頻りに焦慮る様子を見ると、どうも覚束ない様子でございますねえ」 式部「わたしも、薄々は気付いているが、声はよく聞き取れない」 老侍女(縁先へ首を出してみて)「あ....