薄らぐ[語句情報] » 薄らぐ

「薄らぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄らぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
には行かなかった。事務長がその場にいない時は、子供たちをあやし楽しませる熱意さえ薄らぐのを覚えた。そんな時に小さい人たちはきまってつまらなそうな顔をしたりあくび....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
験《しるし》のないと申すは、世も末になったかのように思われて、神ほとけの御威光も薄らぐと存じられまする。さりとは余りに勿体ないこと。就きましては、不束《ふつつか....
高野聖」より 著者:泉鏡花
て、後には婦人《おんな》の病人もこれで復《なお》る、復らぬまでも苦痛《いたみ》が薄らぐ、根太《ねぶと》の膿《うみ》を切って出すさえ、錆《さ》びた小刀で引裂《ひっ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
な事がいつまでも捗取《はかど》らないと、外国人に対して上《かみ》の御威光が自然に薄らぐ道理であるから、せいぜい働いて早く埓を明けろと云った。 半七は承知して神....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
う。太陽はそのときでもやはり同じ弧状の軌道を天上に描きはするが、その光輝は次第に薄らぐであろう。いよいよ巨人軍と神々との戦闘が始まると双方に夥しい戦没者ができる....
雛妓」より 著者:岡本かの子
は経つ。わたくしのこころは、葬儀以後、三十五日、四十九日、百ヶ日と過ぐるにつれ、薄らぐともなく歎きは薄らいで行った。何といっても七十二という高齢は、訣れを諦め易....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
井が岩盤のように墜落した。雪崩れが、洞内の各所におこって濛っと暗くなった。それが薄らぐと崩壊場所の奥のほうがぼうっと明るんでいる――穴だ。それから、紆余曲折をた....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
でみているうちに暁はひろがってゆく。しかし、死の原のここに、鳥の声はない。ただ、薄らぐ寒さと魔性のような人影。やがて、折竹はボロリと眼鏡を落し、 「ザチ」 と....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
は、もの心覚えし後なり。 興行あるごとに打囃す鳴物の音|頼母しく、野衾の恐れも薄らぐに、行きて見れば、木戸の賑いさえあるを、内はいかにおもしろからむ。母上いま....
故郷」より 著者:井上紅梅
ぼんやりして来た。わたしは今の故郷に対して何の未練も残らないが、あの美しい記憶が薄らぐことが何よりも悲しかった。 母も宏兒も睡ってしまった。 わたしは横にな....
俳優倫理」より 著者:岸田国士
と同時にその人の芸は進歩が止ります。そうして徐々に自分のかち得た人気というものが薄らぐのです。この俳優のスター心理というものは、決して現代日本だけの現象でありま....
茶の本」より 著者:岡倉由三郎
からあるいは出る余地もあろう。『日本の目ざめ』はその扱う事がらの性質上、現実味の薄らぐおそれが無いでもない。しかしこの『茶の本』は人心の機微に立脚した文字で長く....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
次は、偃松の枝を採りて火を点ける、これでどうやら宿れそうだ。やがて、雲霧も次第に薄らぐ、先ず安心、と濡た衣裳を乾かす。 この大谷を、横尾の空沢または大沢「信濃....
俗臭」より 著者:織田作之助
この女の場合、顎がしゃくって突き出ているから、いっそ小憎い。それだけに同情の念が薄らぐのだが、その代り、祟りというものがあるなら、こういう婆さんこそ一層恐ろしい....
特殊部落ということについて」より 著者:喜田貞吉
て最も必要な事と信ずる。世人がよくこれを了解したならば、彼らを疎外するの念は漸次薄らぐべきである。彼らがこれを了解したならば、自重して自ら改善するにも張合いが出....