薄ら笑い[語句情報] » 薄ら笑い

「薄ら笑い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄ら笑いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
中佐の円い顔が、あらわれた。この室内の光景を見ると、駭くかと思いの外、ニヤリと、薄ら笑いを、口辺に浮べたのだった。 中佐は、ツカツカと司令官の傍に近づいた。 ....
十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
うな子供にこの肩が揉みほぐせるか、と申しましたところ、子供が真白い顔へにったりと薄ら笑いを泛べまして、この位ならどうで厶りますと言い乍ら、ちょいと指先を触れます....
足迹」より 著者:徳田秋声
「老人の思うようじゃないんですよ。」と、従姉は、お庄の顔をじろじろ眺めながら、薄ら笑いをしていた。 「でもまア辛抱していさえすれば、あの家も始終はお前たち夫婦....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
引きのばしたような、一杯機嫌ながらも、狡猾《こうかつ》さと、生酔いの本性を失わぬ薄ら笑いであった。「ふむ……だが、わしも、いずれはおまえが、何かそんな風なことに....
少年の死」より 著者:豊島与志雄
郎だそうだい。親方がちょいちょい寄ることがあるんだとよ。」 そういって彼は妙な薄ら笑いをした。 然し庄吉はまた、大留の遊びを余り深入りさせないために惣吉は内....
白血球」より 著者:豊島与志雄
可なり深くなってるが、口髯はまだ濃く黒々としている、その先をひねりながら、晋作は薄ら笑いを湛えて答えた。 「その上本物のお化でも出たら、丁度お誂え向だね。」 「....
神棚」より 著者:豊島与志雄
いので黙った。その上彼女は、一寸昔の可愛さを思い出させるような、上唇を脹らませる薄ら笑いを浮べていたので、俺も曖昧な笑顔をしてやった。けれど彼女の言葉を、池部は....
白日夢」より 著者:豊島与志雄
を取払ってしまって、一緒に暮したら面白いかも知れないね。」 妻は軽蔑したような薄ら笑いを洩らしたが、暫くして何と思ったか、こんなことを云い出した。 「そりゃ面....
香奠」より 著者:豊島与志雄
るか、一つ賭をしてみようじゃないか。」 「ええ。」と彼は曖昧な返事をして、善良な薄ら笑いを洩しました。 でその話はそのままになって、彼は孟宗竹の大きな鉢植を大....
阿亀」より 著者:豊島与志雄
るのかい、あの女を。」 木谷は球を外すと、相手が撞いてる間僕の側にやってきて、薄ら笑いをしながら、いろんなことを饒舌っていった。 「あれは君、伊坂の細君なんだ....
裸木」より 著者:豊島与志雄
二つの作用が、或る時期にぴたりと一つのものにまとまる。と、彼はにやにやと不気味な薄ら笑いを洩した……。そういう状態を、彼は自ら、人間性の獣化と考えるのであった。....
傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
から金をまき上げて、酒を飲みに行ったんだろう。」 「…………」 小林は黙って、薄ら笑いをしていた。 「まだ君は、ああいう連中と別れられないのか。」 杉本の鋭....
死ね!」より 著者:豊島与志雄
て、私の言葉は彼女の視線に乗って彼へぶつかってゆくのである。その彼はただにやにや薄ら笑いを浮べて嬉しそうに酒を飲んでいる……。 私は腹が立ってきた。こんな奴、....
白い朝」より 著者:豊島与志雄
心は深いもので、既に昨晩、それとなく駒井さんに当ってみたらしいですよ。なんかと、薄ら笑いをしています。芝田さんは呆気にとられました。 芝田さんは呆気にとられて....
囚われ人」より 著者:豊島与志雄
さ。正夫君だってそうだろう。 正夫は顔を挙げて、煙吉を不思議そうに眺め、皮肉な薄ら笑いを浮べるが、それにも拘らず、溜息をついて、また顔を伏せてしまう。その方を....