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薄れる
「薄れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
るとでも形容しそうな気色ですから、これにはさすがの新蔵も、頭の上の電燈さえ、光が
薄れるかと思うほど、凄《すさま》しげな心もちがして来たそうです。
が、勿論それ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
て鋼線《はりがね》のような脚を伸したり縮めたりして藻掻《もが》く様《さま》は命の
薄れるもののように見えた。暫《しばら》くするとしかしそれはまた器用に翅《はね》を....
「夜の靴」より 著者:横光利一
Aはやはり話を触れようとしなかった。実際、予言というものは的中するとひどく価値が
薄れるもので、あんなことなど信じて何になったのかと、今さらどちらも思いあう味けな....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
悲しみ方は、成人するにつれ、又、その物との交渉が成人につれて深まりながら、却って
薄れる一方であった。そうして、今では、木橋が鉄橋に代り、川幅の狭められたことが、....
「選挙殺人事件」より 著者:坂口安吾
人とはかなり打ちとけた話をする仲になったが、立候補の秘密の方はそれに比例して影が
薄れるばかりである。なぜなら、打ちとけるにつれ、夫人は心配そうな様子を見せなくな....
「人の子の親となりて」より 著者:坂口安吾
しかし、わが子が犬よりも可愛いと思うようになると、その不安も暗さも、だんだん
薄れるようになった。別に、生きぬいて働く自信ができたわけではないが、なんとなくた....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
とは出来ません。現に目の前の香炉の火や、印度人の婆さんの姿でさえ、気味の悪い夢が
薄れるように、見る見る消え失せてしまうのです。 「アグニの神、アグニの神、どうか....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
薄明りの中に仄めいた、小さい黄色の麦藁帽、――しかしその記憶さえも、年毎に色彩は
薄れるらしい。 その後十日余りたってから、良平は又たった一人、午過ぎの工事場に....
「倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
くことも出来ない。ここでも幾たびか顔を撫でられた。 ここを立退いて、少し混雑が
薄れるかと思うと、往来のまん中に輪を作って、幾組も踊っているのがある。踊りながら....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
。 しかし何かの運命でそれをすでに失ってしまったものはやむを得ない。そのひびの
薄れるように、そのまわりに結締組織のできるように修養すべきだ。傷をいやすレーテの....
「切捨御免」より 著者:坂口安吾
かるに、ジャーナリズムは、首実検で犯人の断定が得られなかった、というだけで、容疑
薄れる、と即断する。このジャーナリズムの断定態度というものには、知的性格がまった....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
た、と。そして、もと中等教員は穴の住人にすぎないのだ、と。 しかし、戦争の影が
薄れるにつれ、彼の生活がつまる一方であることの悲しさが深まるにつれ、彼が他の誰よ....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
春の曙光は、お祖母さまのことで暗く色づけられていた。童心は、やがて淡くなり、
薄れるように去るだろう……。しかし、お祖母さまのことだけは、永遠に残るにちがいな....
「炎の人――ゴッホ小伝――」より 著者:三好十郎
身体の調子が悪かった。食事が不規則なために胃が悪いのと時々頭がボンヤリして意識が
薄れるような気がすることがある。外で絵を描いていて、倒れたこともある。俺は何か、....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
た。初めのうちは白灰であった。昼でも濛々として宵闇の膜の中に在るようだった。灰が
薄れると太陽が銅色や卵黄色に見えた。その次に石が降って来た。白くて塩の塊のような....