薄味[語句情報] » 薄味

「薄味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄味の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
正香が言う。 「これは春先の若い蕨を塩漬けにして置いたものですが、塩をもどして、薄味で煮て見ました。御酒の好きな方には、お口に合うかもしれません。一つ召し上がっ....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
褐色の釉薬の底から浮き出しているといったようなところがある。 灰皿のほうは肉の薄味、線の丸さ、波形の縁のうねり、その他どう見ても優しいそうして濃まやかな感じの....
旅愁」より 著者:横光利一
く食べないんですよ。」 「じゃ、鰈は嫌いじゃないんだな。」 「嫌いじゃない。鰈の薄味は好きですよ。」 「じゃ、まア好きとしときなさい。つまりそれだよ。」 と東....
異性の間の友情」より 著者:宮本百合子
歴史はまだずいぶん新しい。日本ではことにそうである。友情という感情内容が何となし薄味であるかのように感じられる程、それは異性の間に社会感情の間では若々しい芽であ....
どぶろく幻想」より 著者:豊島与志雄
類の中華料理、どれもみなうまかった。それから殊に、上等の濁酒があった。粟で造った薄味のものとか、雑菌がはいってる酸味のものとか、あんなのではない。白米で厳密に製....
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊」より 著者:北大路魯山人
水洗いする。 缶六、七十銭のものを五人前に使えば適宜といえよう。やはり、これも薄味付けしたお粥を拵えて、できた粥の中へなめこを入れる。温まった程度でよい。煮過....
甘話休題」より 著者:古川緑波
その頃、活動写真館の中売りが「ええアイス、アイスクリン」と呼びながら売っていた、薄味のアイスクリームも、少年の日の思い出だ。 薄味というのは、卵も牛乳も碌《ろ....
食べたり君よ」より 著者:古川緑波
食べたエーワンの、それらの料理。そして、デザートに出た、ババロアの味、ソーダ水の薄味のレモンのシロップ。 ああ何と美味というもの、ここに尽きるのではないか! ....
食道楽」より 著者:村井弦斎
ますから里芋の極く柔い小さいのばかり蒸して鰹節《かつぶし》と昆布の煮汁《だし》を薄味にしてよくお芋を煮てその汁へ葛を引いて里芋の葛掛も拵らえましょうし、鯖《さば....
舌のすさび」より 著者:吉川英治
にまぶして頬ばれる。 野菜椀のうちによく合せてある蕗などにしても、ああイヤ甘い薄味なのよりは、惣菜味の“ショッパイ”煮方のほうがいい。どうも東京の下町人の舌に....