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「薄墨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄墨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の横町の中程へ行くと、一条朧な露路がある。 芸妓家二軒の廂合で、透かすと、奥に薄墨で描いたような、竹垣が見えて、涼しい若葉の梅が一木、月はなけれど、風情を知ら....
「妖術」より 著者:泉鏡花
立ちに電車を出る、乗合のあわただしさより、仲見世は、どっと音のするばかり、一面の薄墨へ、色を飛ばした男女の姿。 風立つ中を群って、颯と大幅に境内から、広小路へ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、首を振ると、耳まで被さった毛が、ぶるぶると動いて……腥い。 しばらくすると、薄墨をもう一刷した、水田の際を、おっかな吃驚、といった形で、漁夫らが屈腰に引返し....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
汽車の窓から視た桜は、奥が暗くなるに従って、ぱっと冴を見せて咲いたのはなかった。薄墨、鬱金、またその浅葱と言ったような、どの桜も、皆ぽっとりとして曇って、暗い紫....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
あたかもその影を追うごとく、障子を開けて硝子戸越に湖を覗いた。 連り亘る山々の薄墨の影の消えそうなのが、霧の中に縁を繞らす、湖は、一面の大なる銀盤である。その....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
て、貴女の姿は、蜘蛛巣ほども見えませぬ。それをの、透かし透かし、山際に附着いて、薄墨引いた草の上を、跫音を盗んで引返しましたげな。 嘉吉をどう始末さっしゃるか....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
り何時もぐらぐらと動く。橋杭ももう痩せて――潮入りの小川の、なだらかにのんびりと薄墨色して、瀬は愚か、流れるほどは揺れもしないのに、水に映る影は弱って、倒に宿る....
「橋」より 著者:池谷信三郎
―だから、しかたなく彼はそのアメリカの女優のプロマイドを買ってきて、鼻のところを薄墨で少し低く直したのであった。 彼がシイカといつものように果物屋の店で話をし....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、雨戸はおのずからキリキリと動いて閉った。 二人の婆に挟まれ、一人に導かれて、薄墨の絵のように、潜門を連れ出さるる時、夫人の姿は後ざまに反って、肩へ顔をつけて....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
香のする方を、熟と見ると、ただやっぱり白い……が、思いなしか、その中に、どうやら薄墨で影がさして、乱しもやらず、ふっくり鬢が纏って、濃い前髪の形らしく見分がつく....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
、境は杉の梢を踏む。と峠は近い。立向う雲の峰はすっくと胴を顕わして、灰色に大なる薄墨の斑を交え、動かぬ稲妻を畝らした状は凄じい。が、山々の緑が迫って、むくむくと....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
五 また顔を出して窓から川を見た。さっきは雨脚が繁くって、まるで、薄墨で刷いたよう、堤防だの、石垣だの、蛇籠だの、中洲に草の生えた処だのが、点々、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
―やがて十一時――清水の石段は、ほの白く、柳を縫って、中空に高く仰がるる。御堂は薄墨の雲の中に、朱の柱を聯ね、丹の扉を合せ、青蓮の釘かくしを装って、棟もろとも、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の小路の風の、冷やかなばかりではなかった。 明り取りに半ば開いた、重なる障子の薄墨に、一刷黒き愛吉の後姿、朦朧として幻めくお夏の背に蔽われかかって、玉を伸べた....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
を控え、剃刀の刃を合せている図、目金と玉と桶の水、切物の刃を真蒼に塗って、あとは薄墨でぼかした彩色、これならば高尾の二代目三代目時分の禿が使に来ても、一目して研....