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薄情
「薄情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
はわたしが何といっても、耳にかける気色《けしき》さえありません。ただもうわたしは
薄情だと、そればかり口惜《くや》しそうに繰返すのです。もっとも発作《ほっさ》さえ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
造は世の中にあなた一人が、何よりも大事なんですもの。それを考えて上げなくっちゃ、
薄情すぎると云うもんですよ。私の国でも女と云うものは、――」
「好いよ。好いよ。....
「路上」より 著者:芥川竜之介
分の事を考えるんです。」
辰子の青白い頬には、あるかない微笑の影がさした。
「
薄情な方ね。」
「
薄情かも知れません。その代りに自分の関係している事なら――」
....
「或る女」より 著者:有島武郎
には心底《しんそこ》をお打ち明け申しました所、どちら様にも義理が立ちませんから、
薄情でもきょうかぎりこのお話には手をひかせていただきます。……どうか悪くお取りに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
れてるんだ。馬鹿は構わん、どうせ、芸者だ、世間並じゃない。芸者の馬鹿は構わんが、
薄情は不可んな!
薄情は。
薄情な奴は俺ら真平だ。」 「いつ、私が、
薄情な、」 ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
た時、たまに省作の噂など出たとておとよは色も動かしやしない。かえっておとよさんは
薄情だねいなど蔭言を聞くくらいであった。それゆえおとよが家に帰って二月たたないう....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、死ぬ方が間違ってるんだ。」 「でも、旦那さん、……義理も、人情も知らない女だ、
薄情だと、言われようかと、そればかりが苦になりました。もう人が何と言いましょうと....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
ろ、とおっしゃいましな。 ツンとしてそがいになる。 早瀬 お蔦、お蔦、俺は決して
薄情じゃない。 お蔦 ええ、
薄情とは思いません。 早瀬 誓ってお前を厭きはしない....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
い、忘れたのなら、それはひどいわ、あんまりだわ。誰かさんに、悪いわ、済まないわ、
薄情よ。」 「しばらく、しばらく、まあ、待っておくれ。これは思いも寄らない。唐突....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
事で呑込みました。 あの容色で家の仇名にさえなった娘を、親身を突放したと思えば
薄情でございますが、切ない中を当節柄、かえってお堅い潔白なことではございませんか....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
されても可さそうなものを、小親に可愛がられるので、まるで忘れるとは、あんまりな、
薄情だ。芸人になればそんなものか、怨じゃよ。」 俄に粛やかなる言語ぶりなり。 ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
の杜子春も、一年二年と経つ内には、だんだん貧乏になり出しました。そうすると人間は
薄情なもので、昨日までは毎日来た友だちも、今日は門の前を通ってさえ、挨拶一つして....
「多神教」より 著者:泉鏡花
いいえ、私の生命をめされましても、一念だけは、あの一念だけは。――あんまり男の
薄情さ、大阪へも、追縋って参りましたけれど、もう……男は、石とも、氷とも、その冷....
「山吹」より 著者:泉鏡花
て実家へ帰したら。」姑たちが話すのを、ふいに痛い胸に聞いたのです。 画家 それは
薄情だ。 夫人
薄情ぐらいで済むものですか。――私は口惜さにかぜが抜けて、あらた....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、やや白けて言う。 「そうですか。」 「で、どんな様子をして……いや、聞くまい、
薄情らしくって、姉さんに恥かしい。」 「私は何とも思いはしません。」 「畑下ッて....