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「薄明るい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄明るいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
まかわじんない》です。その甚内は今わたしの前に、網代《あじろ》の笠を傾けながら、薄明るい雪路を歩いている。――こう云う姿を眺められるのは、それだけでも仕合せでは....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
た記憶には残っていない。ただ保吉の覚えているのは、いつか彼を襲《おそ》い出した、薄明るい憂鬱《ゆううつ》ばかりである。彼はパイプから立ち昇る一すじの煙を見守った....
少年」より 著者:芥川竜之介
を映そう?」 けれども保吉は耳にもかけず、ヴェネチアの風景を眺めつづけた。窓は薄明るい水路の水に静かな窓かけを映している。しかしいつかはどこかの窓から、大きい....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
げ》を撫《な》でる。 70 前の洞穴の内部。船長はさっさと洞穴を出、薄明るい山みちを下って来る。従って山みちの風景も次第に下へ移って来る。船長の後ろ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
。 「足音だッ。聞こえますぜ。だんな!」 伝六のささやいた声とともに、ほんのり薄明るい星空下の境内の広庭へ、にょきにょきと黒い姿を現わしたのは、はかま、大小、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
敷ばかりで、日が暮れると往来の少ないところです。しかし日が暮れたといっても、まだ薄明るい、殊に多吉は商売柄、夜道をあるくのは馴れているので、平気で横網の河岸《か....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の田畑である。そこらには蛙の声がみだれてきこえた。夏の日が落ちても、あたりはまだ薄明るい。半七は迷うことも無しに、植新の門口《かどぐち》へ行き着いた。 門に大....
地中魔」より 著者:海野十三
に叫んで、その窓の中へ入っていった。内部には誰が拵えたのか階段があった。少年は、薄明るい懐中電灯の光を頼りに、ゴム毬のようにトントンと階段を下っていった。 階....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
うな石を載せた板屋根――岡の上にもあり谷の底にもある灯――鄙びた旅舎の二階から、薄明るい星の光と夜の空気とを通して、私は曾遊の地をもう一度見ることが出来た。 ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
往来の人々の罪などと云うものを知らないように軽快に歩いているのは不快だった。僕は薄明るい外光に電燈の光のまじった中をどこまでも北へ歩いて行った。そのうちに僕の目....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
隣の子供と、トロッコの置いてある村外れへ行った。トロッコは泥だらけになったまま、薄明るい中に並んでいる。が、その外は何処を見ても、土工たちの姿は見えなかった。三....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
吉も新十郎を見つめていた。 「まだ明るいうちにお父さんは出かけたのかね」 「まだ薄明るい夕方でしたね。私は虫の知らせか歩き去るオヤジの後姿をかなり遠方へ去るまで....
両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
けたままでいられる御隠居さまが、ぴったりと、障子をたて切り、電灯も消されまして、薄明るい、まくら雪洞にしつらえました、小さなあかりをつけていられるのみでございま....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
は数をなしてかたまりのように見えることであろう。ところどころからあるかなしかの、薄明るい光が茫と立って、それが四辺を明るめているようすは、全然光のないよりも、か....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
一も一旦は悸然としたが、猶其の様子を見届ける為に、倒れたる女を抱え起して、比較的薄明るい門口へ連れ出して見ると、正しく女には相違ないが、もう息は絶えていた。 「....