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「薄暗がり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄暗がりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
きになった。 ……電燈を消した二階の寝室には、かすかな香水の※《におい》のする薄暗がりが拡がっている。ただ窓掛けを引かない窓だけが、ぼんやり明《あか》るんで見....
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
来た。墓地の樹木もその度にさあっと葉の落ちた梢《こずえ》を鳴らした。僕はこう言う薄暗がりの中に妙な興奮を感じながら、まるで僕自身と闘うように一心に箱車を押しつづけて行った。………....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》めかしい言葉を囁《ささや》いた。彼は意外な眼を挙げて、油火《あぶらび》には遠い薄暗がりに、じっと相手の顔を透《す》かして見た。と同時に怒声を発して、いきなり相....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
かしてくれません。その内にもう二人は、約束の石河岸の前へ来かかりましたが、お敏は薄暗がりにつくばっている御影《みかげ》の狛犬《こまいぬ》へ眼をやると、ほっと安心....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
「はは、なんのむずかしく詮議することがあろうか」と、翁は急に笑い出した。「宵の薄暗がりで婆めが何か見違えたのじゃ。さもなくば、人の見ぬ頃をはかって、そこらの川....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をかけて、下女のお伝が何者にか啖い殺された当夜のありさまを聞きただしたが、これも薄暗がりの時刻であり、且は不意の出来事であるので、亭主は二人が満足するような詳し....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。お滝が起きると、すぐに水口の戸を一枚あけて置いたので、得体のわからない闖入者は薄暗がりの家の奥へまっしぐらに飛び込んで、新兵衛の蚊帳のなかへ鼠のようにくぐって....
海異記」より 著者:泉鏡花
ら。……あの、茄子のつき加減なのがありますから、それでお茶づけをあげましょう。」薄暗がりに頷いたように見て取った、女房は何となく心が晴れて機嫌よく、 「じゃ、そ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
捜したッてまでにも行かず……其奴の風采なんぞ悉しく乗出して聞くのがあるから、私は薄暗がりの中だ。判然とはしないけれど、朧気に、まあ、見ただけをね、喋舌ってる中に....
流線間諜」より 著者:海野十三
をパーッと浴びてしまった。 プップッと、唾を吐きつつ彼は漸く立ち上った。そして薄暗がりの中ながら、彼は大きなセメント樽のようなものの中に入っていたことが分って....
縁結び」より 著者:泉鏡花
か、君子の声か、幽に、おっかさんと響いた。 ヒイと、堪えかねてか、泣く声して、薄暗がりを一つあおって、白い手が膝の上へばたりと来た。 突俯したお君が、胸の苦....
死者の書」より 著者:折口信夫
となく、くり返されて居た。 だから、刀自たちは固より若人らも、つくねんと女部屋の薄暗がりに、明し暮して居るのではなかった。てんでに、自分の出た村方の手芸を覚えて....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
てやがて他の耳に来るならずや。異様なる持主は、その鼻を真俯向けに、長やかなる顔を薄暗がりの中に据え、一道の臭気を放って、いつか土間に立ってかの杖で土をことことと....
夜光虫」より 著者:織田作之助
「ヒンブルのお加代」――またの名「兵古帯のお加代」だ。 相変らず前髪を垂らし、薄暗がりで黒色に見えるが、兵古帯の色はいつも紫だ。 「う、う、う……」 うめく....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
て中が広いので納戸代りに用いているとのことでした。夫人はその扉に手をかけながら、薄暗がりに立って、また暫時私の寝息を覗っている風でした。 窓|硝子から差込む月....