薄曇る[語句情報] » 薄曇る

「薄曇る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄曇るの前後の文節・文章を表示しています。該当する5件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
まで花のような模様を描いて、海面のところどころに日光を恵んでいた空が、急にさっと薄曇ると、どこからともなく時雨のような霰が降って来て海面を泡立たす。船と船とは、....
女客」より 著者:泉鏡花
懐かしげに嬉しそうにいう顔を、じっと見る見る、ものをもいわず、お民ははらはらと、薄曇る燈の前に落涙した。 「お民さん、」 「謹さん、」 とばかり歯をカチリと、....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
が悪いね……」 西明寺を志して来る途中、一処、道端の低い畝に、一叢の緋牡丹が、薄曇る日に燃ゆるがごとく、二輪咲いて、枝の莟の、撓なのを見た。――奥路に名高い、....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
反対に、同じ恋の句でも寂しい扱い方をしたものが、『比佐古』の亀の甲の章にはある。薄曇る日はどんみりと霜をれて 乙州 鉢いひ習ふ声の出かぬる ....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
瞳孔括約筋を引き緊める。河上から折々雲が颪して来て、谷の空気が潮の退くように仄に薄曇ると、濃藍色をした深い上流の山の端から、翠の影がさっと谷間を流れて、体がひや....