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「薄板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
食魔」より 著者:岡本かの子
る目途の闇が感じられる。小さな築山と木枝の茂みや、池と庭草は、電灯の光は受けても薄板金で張ったり、針金で輪廓を取ったりした小さなセットにしか見えない。呑むことだ....
オンチ」より 著者:夢野久作
た。 しかし戸塚は、そのまま帰って来なかった。 木工場と鋳造場と、その向うの薄板工場と、第一工場のデッキの下を潜り抜けて、購買組合の前から通用門を抜けると往....
微笑」より 著者:夢野久作
バラと崩れ落ちて来た。胴を掴み破ると、ボール紙の肋骨が飛び出した。その下から又、薄板の隔膜と反故紙の腸があらわれた。手足をポキポキとヘシ折ったら、中味は灰色の土....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
わんきょく》させたものである。その首を口にふくんで適当な圧力で吹くと底のガラスの薄板がポンという音を立ててその曲率を反転する。逆に吸い込むとペンと言ってもとの向....
マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」より 著者:宮本百合子
々の中庭の通りを歩き、牛の骨、ぼろ、古釘などをひろった。またオカ河の材木置場から薄板を盗むことも(たまに)やった。それで三十カペイキから半ルーブリを稼ぎ、銭は祖....
マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
はこの仕事を学校がひけてからやった。 屑拾いよりもっと有利な仕事は材木置場から薄板をかっ払うことであった。一日に二三枚は窃《ぬす》んで来られた。いい板一枚に家....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
二度はありました。うちの壕は入口のフタの傾斜がゆるやかでカンノン開きで見てくれの薄板で、それが弱点ね、機銃の玉なんかいくらでも通ります。其に、生活万端やるとする....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
って二つの壁の間に暗がりに消えていた。戸口がついてるぶざまな壁口の上の方は、狭い薄板で張られ、その薄板のまんなかに三角形の小窓があけられていて、戸口がしめらるる....
春盲」より 著者:豊島与志雄
リンの胴体みたいな作用をし、大きく鳴り響くのであろうか。または、ぴんと張りつめた薄板のようなものがどこかにあって、それが風に鳴るのであろうか。先ずそんなことしか....
可愛い女」より 著者:神西清
の中で一ばん大切で必要なものは材木のように思えて、桁材だの、丸太だの、板割だの、薄板だの、小割だの、木舞だの、台木だの、背板だの……といった言葉の中に、何となく....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
絶壁にも比すべきところに、突き出された二本の丸太、その上に無造作に置かれた一枚の薄板、尾瀬沼のそれにも増した奇抜な便所に、私は二の足を踏まざるを得なかった。空は....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
く胸に響いた。すぐ近くのものと川向うらしいのと強弱のペーソスが混った。 政枝の薄板のようになった下腹に、ひとりでに少し力が入った。 政枝は自分でも知らずに「....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
と、武蔵の刀によって描かれた一|閃が、どう斬り下げられたのか、松の皮二尺あまりを薄板のように削ぎ、その皮といっしょに前髪の幼い首を血しおの下に斬り落していた。 ....
三国志」より 著者:吉川英治
弓は小さかった。 弭――または李満弓ともいう半弓型のものである。けれど梓に薄板金を貼り、漆巻で緊めてあるので、弓勢の強いことは、強弓とよぶ物以上である。 ....
母の手毬歌」より 著者:柳田国男
うになったのである。今からかんがえると何でもない事のようであるが、以前に幅の広い薄板をまげてとじた桶、または水甕をもって水をはこんでいたころには、これに手をつけ....