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薄目
「薄目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ふ》けっているらしかった。玄鶴はやはり蒲団《ふとん》の側の褌のことを考えながら、
薄目《うすめ》に甲野を見守っていた。すると――急に可笑《おか》しさを感じた。
「....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
てその家に飼った三毛で、年久しく十四五年を経た牝が、置炬燵の上で長々と寝て、密と
薄目を※くと、そこにうとうとしていた老人の顔を伺った、と思えば、張裂けるような大....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
と、いつの間にか、障子に明るく陽がさしていた。 「しまった――」 僕はこわごわ
薄目を動かして、隣の枕を見た。それはズッシリと重い頭が永く載っていたらしく真中が....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、そうかネ」 「へえそうかネ――じゃありませんわ。あのとき自動車の中であたくしは
薄目を開いてみたんですの。貴下の覆面は完全でしたけれど、その下から覗いているネク....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
としても、ぼくは誰からも、何ももらいません。ほんとです」 戸倉老人が、このとき
薄目をあいた。そして牛丸少年の顔を、さぐるようにそっと見た。 (おお……)老人の....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
てみると、胸一面の血だった。胸をやられている! 大尉の声が通じたものか、アンは、
薄目を開いた。 「ボジャックは?」 「ボジャックは、ここにいる。ああ、気の毒だが....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
っていておくんなさい。) (はい。) (もっと。) (はい。) (不可え不可え、
薄目を開けてら。) (まあ、では後を向きますわ。) (引しまって、ふっくりと柔か....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の店のは、白張の暖簾のような汚れた天蓋から、捌髪の垂れ下った中に、藍色の片頬に、
薄目を開けて、片目で、置据えの囃子屋台を覗くように見ていたし、先隣なのは、釣上げ....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
のは、だいぶ離れたところである。 「コウーラッ」 誰かゞ引きずりだされている。
薄目をあけてみると、大納言である。大納言は河馬のようにふとっているから、白衣の男....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
様です。深夜に便所へ立ったついでに、ふとオカミサンの部屋の前へきてみると、障子が
薄目にあいているものですから、ボンボリをかざしてごらんになったそうです。すると中....
「博物誌」より 著者:岸田国士
一日である。 昼ごろ、仏頂面をした太陽が、霧の晴れ間から覗きかけて、蒼白い眼を
薄目にあけたが、またすぐつぶってしまう。 私は当てもなく歩き回る。持っている鉄....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
い眼瞼は益※重くどうすることも出来なかった。それでも私は努力した。そしてようやく
薄目を開けてあたりの様子を見ようとした。するとその時私の体を撫で廻していた手が止....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
の入った方がよいので、筋は全く取りません。取れば実がこぼれますから。それを味よく
薄目に煮たのを、壺形の器に入れて膳に乗せます。その豌豆の茎を撮んで口に入れ、前歯....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
して、あけ方の三時四時まで続くんでしょう。雑魚寝の女護の島で、宿酔の海豹が恍惚と
薄目を開けると、友染を着た鴎のような舞子が二三羽ひらひらと舞込んで、眉を撫でる、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
子を被りません――化粧でもしたらしい、白赤く脂ぎった大面の頤を突出して、仰向けに
薄目を開けた、広い額がてらてらして、べっとりと、眉毛に墨を入れたのが、よく見える....