薄穢い[語句情報] » 薄穢い

「薄穢い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄穢いの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
思わず水面を見た。 この小さな海の袋小路の上には、どろどろした、濃い、茶褐色の薄穢い泡の群が、夥しく漂っている。そしてそれが、入江の奥へ行くに従ってどんどん密....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
だ」 と、そこで早速彼等は出掛けました。 そして機関庫の裏を廻って、間もなく薄穢い二階建の葬具屋――十方舎へやって来ました。 助役は先に立って這入ると、早....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ることも知っていながら、気違じみた真似をして、直に出て往っておくれ、お前のような薄穢い者の女房に誰がなるものか」 林「薄穢けりアそれで宜えよ、本当に呆れて物が云....
東京八景」より 著者:太宰治
いじくり廻してばかりいる。そのとしの秋以来、時たま東京の街に現れる私の姿は、既に薄穢い半狂人であった。その時期の、様々の情ない自分の姿を、私は、みんな知っている....
都会の幽気」より 著者:豊島与志雄
またすーっと消えた。消えた瞬間に私はぞっと身震いをした。怪しい幻覚が私を囚えた。薄穢い豊満な肉体をしている女中が、そこの障子に姿を写すのを待受けて、一人の色情狂....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
れ!」専斎の声がまた聞こえた。 その裏庭には屈強の弟子が三人まで固めていたが、薄穢いよぼよぼの老人が築山の裾をぐるりと廻り此方へチョコチョコ走って来るので、不....
岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
東巖子は岷山にいた。 相変わらず小鳥の糞にまみれと暮らしていた。 ある日薄穢い老人が、東巖子を訪れて来た。 「先生しばらくでございます」 「誰だったかね....
緑衣の女」より 著者:松本泰
ゝましい音が町中に響き渡った。するとすぐ玄関わきの扉をあける音がして、五十恰好の薄穢い服装《みなり》をした女が不機嫌な顔を突出した。ギルは突然三階には何者がいる....
夢幻泡影」より 著者:外村繁
であろうか。 涙というものは、まして中年の鰥男《やもめ》の涙などというものは、薄穢いものだ。甘ったるい感情の自慰のようなものであろう。しかしいかに愚かな私でも....