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「薄縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
に厚い苔《こけ》の乾いた面会人控室へつれて行って貰った。そこにはもう僕のほかにも薄縁《うすべ》りを張った腰かけの上に何人も腰をおろしていた。しかし一番目立ったの....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
的対立を明示していなければならない。それ故に、床框《とこがまち》の内部に畳または薄縁《うすべり》を敷くことは「いき」ではない。室全体の畳敷に対して床の間の二元性....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一 八月はじめの朝、わたしが赤坂へたずねてゆくと、半七老人は縁側に薄縁をしいて、新聞を読んでいた。 狭い庭にはゆうべの雨のあとが乾かないで、白と....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をつかんだのを誇りにして、煮たり焼いたりして賞翫するのもあった。砂のうえに毛氈や薄縁をしいて、にぎり飯や海苔巻の鮓を頬張っているのもあった。彼等はあたたかい潮風....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
意気に、旧い朋友の筒井松太郎へ、斯う改めて訊いて見た。二人は無聊のつれづれから、薄縁を敷いた縁側へ、お互にゴロリと転りながら、先刻から文字の穿鑿に興じ合っている....
闘争」より 著者:小酒井不木
と、毛利先生は立ち上って、自分の腰かけて居た椅子を緑川に与え、室の隅にあった薄縁をもって来て床に敷かれた。 緑川はおそる/\椅子に腰かけた。 「さあ、眼を....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
す、煎餅の壺が落ちる、今坂が転がり出すという大騒ぎ。商人の店先は揚板になって居て薄縁が敷いてある、それへ踏掛けると天命とは云いながら、何う云う機みか揚板が外れ、....
南地心中」より 著者:泉鏡花
。 風は冷し、呼吸ぬきかたがた、買った敷島をそこで吸附けて、喫かしながら、堅い薄縁の板の上を、足袋の裏|冷々と、快い心持で辷らして、懐手で、一人で桟敷へ帰って....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
おる、存じておる、柄に後藤の彫刻の、萩や芒をちりばめた、稀代の名作であった筈だ」薄縁の敷かれた長廊下には、現在諸家から持ち運ばれた無数の音物が並べられてあった。....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
紫の矢飛白の振袖で、帯は立矢の字に結ばれていた。 そういう彼女が牢格子の中の、薄縁を敷いた上に膝を揃えて、端然として坐っている姿は「美しい悲惨」そのものであっ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ら、一本の小柄が投げ出されて、三人の兄弟の乗っている、屋形船の障子をつらぬいて、薄縁の上へ落ちたことである。 その柄に紙片が巻きつけてある。 「私情から申して....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
行くと向島の土手になって、梅若や白髭の辺に出るのです。お兄様はと見返ると、板張に薄縁を敷いたのに、座蒲団を肩にあて、そこらにあった煙草盆から火入れを出し、横にし....
贋物」より 著者:葛西善蔵
きを想うことができる……」 寝間の粗壁を切抜いて形ばかりの明り取りをつけ、藁と薄縁を敷いたうす暗い書斎に、彼は金城鉄壁の思いかで、籠っていた。で得意になって、....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
かぢ「それじゃア疲労れてるだろうから、あの二畳へ往って木片を隅の方へ片付けて、薄縁を敷いてお寐」 とお老爺さんを寐かしましたが、お梶は貞女でございますから、....
世間師」より 著者:小栗風葉
はどれも雨戸が釘着けにしてある。畳はどんなか知らぬが、部屋一面に摩切れた縁なしの薄縁を敷いて、ところどころ布片で、破目が綴くってある。そして襤褸夜具と木枕とが上....