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薄肉
「薄肉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄肉の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒猫」より 著者:佐々木直次郎
の他それに似たような文句が、私の好奇心をそそった。近づいてみると、その白い表面に
薄肉彫りに彫ったかのように、巨大な猫の姿が見えた。その痕《あと》はまったく驚くほ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ころまで来て硝子障子を明け放した。闇の庭は電燭の光りに、小さな築山や池のおも影を
薄肉彫刻のように浮出させ、その表を僅な霰が縦に掠めて落ちている。幸に風が無いので....
「河明り」より 著者:岡本かの子
向う岸の橋詰に榕樹の茂みが青々として、それから白い尖塔が抽んでている背景が、橋を
薄肉彫のように浮き出さすためであろうか。私がいつまでも車から降りて眺めていると、....
「道標」より 著者:宮本百合子
の小道をたどりながら、半ば無意識に、そこの小テーブルの上に立ててあるモツァルトの
薄肉浮彫の飾りメダルを手にとった。ウィーン名物の
薄肉浮彫の金色の面に、こころもち....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
面白いでしょう。 二十八日には建築士会の中條精一郎君記念事業会から、父の肖像(
薄肉彫・ブロンズ直径三尺近いもの北村四海氏作)をおくられました。建築士会へは中條....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
い柿。あなたは森本というその家を御存じかしら。ハワイからかえった人が今の主人で、
薄肉色のソフトなんかかぶって、麦かりをしているお爺さんです。その娘さんやっぱりハ....
「回想録」より 著者:高村光太郎
言っていたが、上品でおっとりして、よく人柄が出ているという点で尊敬していた。殊に
薄肉がうまく、石川先生は絵の心得があるから煙管の筒など彫ると非常に名人で、自分な....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
、それを見て、心|私かに感服したので能くその名を覚えていました。 同氏の出品は
薄肉の額で、同氏得意のもので、世評も大したものであったらしく、私が見ても牙彫界恐....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
話の焼けないもので、米原氏へ或る一つの手本を与えると、それを手本に模刻が出来る。
薄肉とか半肉とかで、此所はこうと一ヶ所|極まり処を教えると、一を聞いて十を知ると....
「西園寺公の食道楽」より 著者:北大路魯山人
のである。この脇腹肉というのは、ひとりたいのみではない。大概なさかなは、この腹の
薄肉というのが美味いものである。 そこで公は、なにかに物に通じた人であるから、....