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薄膜
「薄膜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄膜の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
窪の万象は生々の気を盆地一ぱいに薫らしている。輝く蒼空をいま漉き出すように頭上の
薄膜の雲は見る見る剥れつつあった。 何という新鮮で濃情な草樹の息づかいであろう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は、水星であると同時に、水銀の名にもなっているのです。しかし、古代の鏡は、青銅の
薄膜の裏に水銀を塗って作られていたのですよ。そうすると、その鏡面に――つまり、こ....
「我に叛く」より 著者:宮本百合子
廻しな話を続けるのは一層心苦しい。先刻からの気分の続きで彼女は母との間の見えない
薄膜を一突に突破るような激しい気持になった。 「おかあさま、はっきり話そうじゃあ....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
その物体から来るものは今日の光線でも光波でもなくて「像」(image)と名づける
薄膜状の物質である。これはあたかも蛇の皮を脱するごとく、物体の表面からはがれて、....
「日常身辺の物理的諸問題」より 著者:寺田寅彦
とおり、固体ことにガラスや陶器などの表面にはガスのみならずある種類の液体や固体の
薄膜を頑固に付着せしめる性質がある。そうして、普通人間の手に触れる物体は自然に油....
「丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
見ても通例女の虚栄心というものは、人間のあらゆる本質的欲求の団塊の、ほんの表面の
薄膜に生ずる黴ぐらいのもののように取り扱われているようであるが、はたしてそんなも....
「糸車」より 著者:寺田寅彦
塊を根気よくたたいてたたきほごしてその繊維を一度空中に飛散させ、それを沈積させて
薄膜状としたのを、巻き紙を巻くように巻いて円筒状とするのだそうである。そうしてで....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
な議論をするまでもなく、あらゆる生物の生活現象は、生物を構成するコロイドの粒子や
薄膜の境界において行なわれる物理的化学的現象ときわめて密接な関係があるということ....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
なっているが、これはその球を包んでいる地中の葉鞘が老いて、その内容物を失い、黒い
薄膜となって球の外面を被覆しているのである。 ハマカンゾウ ハマカンゾウ(浜萱....
「雪」より 著者:中谷宇吉郎
子面の性質によっても著しく形の異るのは、硝子面にいつでも附着している有機化合物の
薄膜によるのではないかという点であった。それで硝子面にいろいろの脂《あぶら》をつ....
「アラスカの氷河」より 著者:中谷宇吉郎
、微量の脂肪を使うので、この孔というのは、実は脂肪の薄い膜なのである。この脂肪の
薄膜と、墨の
薄膜とは、揺り動かされている間も、決してまざらない。それで墨の線条と....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
も一枚ぐらいは開けてもよさそうだと、私は卓上電話の受話機を採る。とその埃りっぽい
薄膜の耳がポロリと落ちる。それを慌てて継ぎ合せて「もしもし」である。 鳶のよう....