薄荷[語句情報] »
薄荷
「薄荷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄荷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
からもう何年かたった、ある寒さの厳しい夜、僕は従兄の家の茶の間《ま》に近頃始めた
薄荷《はっか》パイプを啣《くわ》え、従姉と差し向いに話していた。初七日《しょなの....
「並木」より 著者:島崎藤村
りの不規則な力の無い歩みを運びながら、洋服で腕組みしたり、頭を垂れたり、あるいは
薄荷《はっか》パイプを啣《くわ》えたりして、熱い砂を踏んで行く人の群を眺めると、....
「渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
ーリヤは、少し上気したような顔をして喋《しゃべ》っている。白い歯がちらちらした。
薄荷《はっか》のようにひりひりする唇が微笑している。 彼は、嫉妬《しっと》と憤....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
をかけ、電燈を消して、蚊帳の中に這入り、万一|忍び込むものがあるときの脅しに使う
薄荷入りの水ピストルを枕元へ置いた。小初は横になり体を楽にするとピストルの
薄荷が....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
のような茂みの傍を通り、仄白い野菊の一ぱい咲いている野原の一片が眼に残り、やがて
薄荷草がくんくん匂って里近くなってきた往還で、かの女はタクシーを拾って、東京の山....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
た地面がバリバリ砕けて、下の雪水が容赦なくはねかかった。やがて、幾百と云う氷柱で
薄荷糖のように飾り立った堂の全景が、朧気に闇の中へ現われた。 出入口の把手を捻....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ぞんぜえだもんだから、お医者と相宿になってると皆も気丈夫でごぜえます、些とばかり
薄荷があるなら甜めたいもんで」 ×「左様な薬は所持しない、なれども相宿の方に御病....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
た、』と暢気な観察をする小僮もあった。黒い髯で通る○○は露助然たる駱駝帽を被って
薄荷パイプを横啣えの外套の衣兜に両手を突込みの不得要領な顔をしていた。白い髯で通....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
る/\と枕に通えば、何となくときめく心を種として咲も咲たり、桃の媚桜の色、さては
薄荷菊の花まで今|真盛りなるに、蜜を吸わんと飛び来る蜂の羽音どこやらに聞ゆる如く....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ら、飴ん棒と云う麻殻の軸に巻いて売る、賑かな祭礼でも、寂びたもので、お市、豆捻、
薄荷糖なぞは、お婆さんが白髪に手抜を巻いて商う。何でも買いなの小父さんは、紺の筒....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
だ一種類しかない。それは蝸牛の肉を茹でて軟かくしたものを上等のバタと細かく刻んだ
薄荷とをこね合せたものと一緒にして殻に詰めるだけのことである。然しこの簡単な料理....
「青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
話し出した。「たった三十分ばかり前のことですが、二人連れの坊さんがお見えになって
薄荷を少しばかりお買いになって行ったのです。それからあのハムステッド公園の方へ行....
「接吻」より 著者:神西清
気持がしていたし、頬はというと、見知らぬ女に接吻された左の口髭のあたりが、まるで
薄荷水でも滴らしたように微かにいい気持にすうすうして、そこをこすればこするほど、....
「唇草」より 著者:岡本かの子
から、かの女の必死に掴んだ指から、千代重が今まで栖子からうけたことのない感覚が、
薄荷を擦り込むような痛さと共に骨身に浸み込んだ。 すると、千代重は暫らく何の判....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
何という、のどかな、下町らしい静けさのあるところであろうと今でも思い出す。「甘い
薄荷入りの粟の水あめでござーい」といって売りに来るかと思えば、「こうばしや、かり....