薄野[語句情報] » 薄野

「薄野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄野の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
きつ》けられて行った。 「工場から引っこぬいて、これを自分の手で男にしてみよう」薄野呂《うすのろ》か何ぞのような眠たげな顔をして、いつ話のはずむと云うこともない....
星座」より 著者:有島武郎
が輝いて人の往来も相当にあった。 ふと柿江の眼の前には大黒座の絵看板があった。薄野《すすきの》遊廓の一隅に来てしまったことを柿江は覚《さと》った。そこには一丈....
虚構の春」より 著者:太宰治
に足の向いた所から分け入り、歩けた所だけ歩いて、報告する――てやがんだい。ぼくは薄野呂《うすのろ》です。そんなんじゃあない。然し、ぼくは野蛮でたくましくありたい....
足迹」より 著者:徳田秋声
なかへ呼び込んでは、小豆の入った袋で、患部を敲かせた。 お庄が朝目をさますと、薄野呂のようなその按摩は、じっと坐ったきりまだ機械的に疲れた手を動かしていた。明....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
を歩きまわって、こいつ等に嗅ぎつけられたのだな。ふん、唐変木《とうへんぼく》の、薄野呂《うすのろ》のこいつ等だって、馬鹿にすりゃあ、とんだ目を見るものさ。だが、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、京洛の天地はいずれのところにあるや、山科、宇治も見渡す限り茫々《ぼうぼう》たる薄野原《すすきのはら》でありました。 机竜之助は、「柳緑花紅」の石に腰打ちかけ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
世界のいずこも広野原。そこへ来るとふらりふらり辿《たど》って来た足を、ものうげに薄野原《すすきのはら》の中にとどめて、ふっと後ろを顧みると、東山を打越えて見透し....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
わざ死地に身をさらしてる国王アンリー四世を、示さんがためであった。 かくてその薄野呂《うすのろ》な人々は、国王や英雄らの室内劇をやっていた。キロス大王の時代の....
花ふぶき」より 著者:豊島与志雄
ある。ただふしぎにも、嘉代さんの言うことにはよく従う。 一見したところ、千代の薄野呂は、脳膜炎の結果かとも見えるし、遺伝梅毒のそれかとも見えるし、其他の悪疾の....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
越して行った。 すると乞食は負われながらむやみと悪態を吐くのであった。 「ヤイ薄野呂! 間抜け野郎! そんな方へ行くと溺れるぞ! そっちは淵だ! 深い淵だ! ....