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薄闇
「薄闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「将軍」より 著者:芥川竜之介
まかげ》に沿うていたから、隊形も今日は特別に、四列側面の行進だった。その草もない
薄闇《うすやみ》の路に、銃身を並べた一隊の兵が、白襷《しろだすき》ばかり仄《ほの....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
れの側へ来たものがある。おれはそちらを見ようとした。が、おれのまわりには、いつか
薄闇《うすやみ》が立ちこめている。誰か、――その誰かは見えない手に、そっと胸の小....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
港線の赤錆た六十五|封度軌条の上へ疾走り出た。 もう風も静まって大分白み掛けた
薄闇の中を、フル・スピードで疾走り続けながら、落ついた調子で、喬介は助役へ言った....
「河明り」より 著者:岡本かの子
、土地の名所である回教の礼拝堂を見せた。がらんとして何もない石畳と絨氈の奥まった
薄闇へ、高い窓から射し入る陽の光がステンドグラスの加減で、虹ともつかず、花明りと....
「死者の書」より 著者:折口信夫
て居る。 何処からか吹きこんだ朝山|颪に、御灯が消えたのである。当麻語部の姥も、
薄闇に蹲って居るのであろう。姫は再、この老女の事を忘れていた。 ただ一刻ばかり前....
「風波」より 著者:井上紅梅
……わしは七十九になった」 それから後でも七斤は日々に入城したが、家内はいつも
薄闇かった。 村人は大抵廻避して彼が城内から持って来た珍談を聞きに来ようともし....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ういわれたとき、フローラは、眼前にこの世ならぬ奇跡が現われたのを知った。 眼が
薄闇に馴れるにつれて彼女の眼は、ある一点に落ちて、動かなくなってしまった。 そ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
に入ってしまった。砲|塁や他の艦が、それと気づいた頃にはおそく、本艇は、白みゆく
薄闇を衝いて、唸りながら驀進していた。 艦側から、海中に飛び込む兵員、しだいに....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
駆られて、一目散に楽屋のなかへ、飛び込んで行ったのであった。 そして、永いこと
薄闇のなかに立ちつくして、彼は油絵具の、どんよりとした反映を見詰めていた。 が....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
切られたとき、一同の眼は暗さに馴れるまで、凝と大きく見開かれていた。すると、その
薄闇の中から次第に輪廓を現わして、やがて一同の眼に、飛び付いて来たものがあった。....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
れ』 おくみ『いや。いや』 (奪い取り合ううち、松明はぱったり地に落ちる。舞台は
薄闇。二人は思ず寄り添う。源右衛門の家より鉦の音。) おくみ『源兵衛さま』 源兵....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
をも愛して居た。 程よい富、程よい名望、三棟の土蔵へ通う屋根廊下には旧家らしい
薄闇が漂っていた。桟窓からさし込む陽に飴色の油虫が二三びき光った。 「気味がお悪....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
えやしないよ。この娘は唖だよ」 と吐きだすように言った。 小沢ははっとして、
薄闇をとおして唖の娘の顔を見た。 「あ!」 見覚えがある。 梅田の食堂から刺....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
まばらに続いているばかりで、杉や榎らしい大木が路を挾んですくすくと立っているのが
薄闇の中にも窺われた。闘いはその大木の二、三本を前にした小さい家の内そとを足場に....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
。敵は髪を長く垂れた十五六の少年で、手には晃めく洋刃のようなものを振翳していた。
薄闇で其形は能くも見えぬが、人に似て人らしく無い。 「若や山※と落して、両手で顔....