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薄雪
「薄雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。のみならず永年持っていた本を古本屋の手に渡すことは常に彼には悲劇だった。彼は或
薄雪の夜、神保町通りの古本屋を一軒一軒|覗《のぞ》いて行った。その内に或古本屋に....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
に、知っている※ どこのものじゃ」 「江戸町の角菱楼《かどびしろう》にいなました
薄雪さんざますよ」 「その者は、特に達磨がすきじゃったか」 「大好きも大好きも、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
。夜間戦闘機の武勲もほとんど新聞に出ない。 一月十二日 ◯昨夜モ敵三回来襲ス、
薄雪アリ冷雨時ニ落チ冷エ込ムコト甚シ、遠方ニ男女ノ警防団員ノ声ス、皇土ヲ護ル当代....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
あの太いのがくさるのよ
ゴム管で聴く蓄音機
ホーマーの詩でもあるのかな
深山の
薄雪草にも似た宵
綿の水を吸って絹糸草が青い
水中花はコップの中で一叢《ひとむら....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
ろから、アルプスの旅客が、必ず土産に持ちかえるものにしてあるエーデルワイス(深山
薄雪草)は銀白の柔毛を簇がらせて、同族の高根
薄雪草や、または赤紫色の濃い芹葉塩釜....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とする草紙を覗《のぞ》いて見ると、上の一揃いは「常夏《とこなつ》草紙」、下のは「
薄雪《うすゆき》物語」、どちらも馬琴物と見て取りました。 「さようなら」 代を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
間の手で作れない、雪と、氷と、高さとの力で作られた、天然の花の色。 「これが深山
薄雪《みやまうすゆき》っていうんでしょう」 お雪はその一つを摘《つ》み取って、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ました。 「そんなにいやがるものじゃありません、それは白馬ヶ岳の雪に磨かれた深山
薄雪《みやまうすゆき》や、梅鉢草《うめばちそう》とは違います、ここのは、眼の碧《....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
浅尾浅十郎が座頭に片岡松若が若手の花形、それに中村駒之助が客座で加っていた。『新
薄雪物語』の三人笑いやテボの正宗その他を打通しの出し物で、とにかく久しぶりの上方....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
主義者どもが刑事をマクにもなかなか手腕が入るそうである。 ここは街道の一本道。
薄雪の積もった正月夕暮れ。ほとんど人通りは絶えている。なかなかマクには骨が折れる....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
俳優を愛したのであった。けれども、結局にはそれが禍いとなって、あろうことか正室|
薄雪の方が、上方役者里虹と道ならぬ褄を重ねたのである。
薄雪の方は、嵯峨二位卿の息....
「火の扉」より 著者:岸田国士
でしよう。性卑しくして比類なきものを識つた罪とでも申しましようか。赤石には、もう
薄雪が見えます。稲も実のりました。小生がベンベンとこの土地にとどまつていることを....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
しない。むしろ酸っぱい顔をした。 「どこへ行くな、え、和泉屋」 黒塗りの足駄で
薄雪を踏み、手は両方とも懐中手、大跨にノシノシ近寄って来たが、 「穴ッぱいりか、....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
れている。 殊に、鰍の味と川の水温とに深い関係があった。上越国境の山々が初冬の
薄雪を装い、北風に落葉が渦巻いて流れの白泡を彩り、鶺鴒の足跡が玉石の面に凍てるよ....
「雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
てそこの廊下の雨戸を一枚|明けて、立って待っておると戸外は朧の夜で庭の面にはもう
薄雪の一面に降っていた。やがて中門より、庭の柴折戸を静かに開けて、温雅に歩み来る....