薩摩下駄[語句情報] » 薩摩下駄

「薩摩下駄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薩摩下駄の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
》の意を表した。主人は「帰るかい」と云った。武右衛門君は悄然《しょうぜん》として薩摩下駄を引きずって門を出た。可愛想《かわいそう》に。打ちゃって置くと巌頭《がん....
琴のそら音」より 著者:夏目漱石
忘れたと云う。靴は昨夜《ゆうべ》の雨でとうてい穿《は》けそうにない。構うものかと薩摩下駄《さつまげた》を引掛けて全速力で四谷坂町まで馳《か》けつける。門は開《あ....
蘆声」より 著者:幸田露伴
と網魚籠とを持って、鍔広の大麦藁帽を引冠り、腰に手拭、懐に手帳、素足に薄くなった薩摩下駄、まだ低くならぬ日の光のきらきらする中を、黄金色に輝く稲田を渡る風に吹か....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
福富さんの家に奉公して居たこともあるが、尊名は初めてだと、飛白の筒袖羽織、禿びた薩摩下駄、鬚髯もじゃ/\の彼が風采と、煤竹色の被布を着て痛そうに靴を穿いて居る白....
青年」より 著者:森鴎外
の袴を穿いて、同じ絣の袷羽織を着ている。被物は柔かい茶褐の帽子で、足には紺足袋に薩摩下駄を引っ掛けている。当前の書生の風俗ではあるが、何から何まで新しい。これで....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
に、衣紋を寛く紺絣、二三度水へ入ったろう、色は薄く地も透いたが、糊沢山の折目高。薩摩下駄の小倉の緒、太いしっかりしたおやゆびで、蝮を拵えねばならぬほど、弛いばか....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
「薩摩屋敷へ行って見ると、すぐに一室へ案内された。しばらくすると西郷は洋服の足へ薩摩下駄を穿いて、熊次郎という僕を従え平気な顔をして現われた。庭から室へはいって....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
の浅黒い空脛を端折って――途中から降られたのだから仕方がない――好みではないが、薩摩下駄をびしゃびしゃと引摺って、番傘の雫を、剥身屋の親仁にあやまった処は、まっ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
袴を穿くことが流行しなかった時代であるので、いずれも筒袖の着流しで、わざとらしく薩摩下駄などを穿いていた。 わたしが桜痴居士の家をたずねた時に、玄関にきたない....
挿話」より 著者:徳田秋声
話していた。いつでも脅かしに男下駄を玄関に出しておくのが、お京の習慣で、その日も薩摩下駄が一足出ていた。米材を使ってはあったけれど住み心地よくできていた。 不....
初夢」より 著者:正岡子規
撞木杖《しゅもくづえ》なんかはつきやしないヨ。どれでもいいステッキサ。暫く振りで薩摩下駄を穿《は》くんだが、非常に穿《は》き心地がいい。足の裏の冷や冷やする心持....