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「薩摩絣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薩摩絣の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
藤はとみには口もきけないように思い惑っているらしかった。多少|垢《あか》になった薩摩絣《さつまがすり》の着物を着て、観世撚《かんぜより》の羽織|紐《ひも》にも、....
明暗」より 著者:夏目漱石
思い出された。白縮緬《しろちりめん》の襟《えり》のかかった襦袢《じゅばん》の上へ薩摩絣《さつまがすり》を着て、茶の千筋《せんすじ》の袴《はかま》に透綾《すきや》....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
がちょっと見るとナポレオンのようですこぶる偉観である。着物は通例の書生のごとく、薩摩絣《さつまがすり》か、久留米《くるめ》がすりかまた伊予《いよ》絣か分らないが....
野分」より 著者:夏目漱石
むべきである」と云ったと思ったら、引き込んだ。聴衆は喝采《かっさい》する。隣りに薩摩絣《さつまがすり》の羽織を着た書生がいて話している。 「今のが、黒田東陽《く....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
。スプリングの深いクッションへ規矩男は鷹揚な腰の掛け方をした。今夜規矩男は上質の薩摩絣の羽織と着物を対に着ていた。柄が二十二の規矩男にしては渋好みで、それを襯衣....
雛妓」より 著者:岡本かの子
こころになっていた。わたくしが、あんまり青年にしては晒され過ぎてると言うと、彼は薩摩絣の着物に片手を内懐に入れて、「十四より酒飲み慣れてきょうの月です」と、それ....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
かった区劃の前に出た。 脊の低い、丸顔の、かわいい高等学校の生徒が一人、古風な薩摩絣の羽織に、同じ絣の着物を着たのが、ひょいと右手を伸ばしたと思って、その指先....
青年」より 著者:森鴎外
目に映じたのは、色の白い、卵から孵ったばかりの雛のような目をしている青年である。薩摩絣の袷に小倉の袴を穿いて、同じ絣の袷羽織を着ている。被物は柔かい茶褐の帽子で....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
せえ。」 「ええ。」 何と、足許の草へ鎌首が出たように、立すくみになったのは、薩摩絣の単衣、藍鼠無地の絽の羽織で、身軽に出立った、都会かららしい、旅の客。――....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
葉珊瑚の蔭から青年は姿を現わした。 闇の中から生れ出る青年の姿は、美しかった。薩摩絣の着物に対の羽織を着て、襦袢の襟が芝居の子役のように薄鼠色の羽二重だった。....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
用いますが、「かすり」は「掠る」という言葉に由来するものであります。 ここで「薩摩絣」または「薩摩上布」といわれるものについても記しておかねばなりません。元来....
洋灯はくらいか明るいか」より 著者:室生犀星
んだね、なにか外の者にたいして弁護するような語調だつた。美少年の吉田三郎は新しい薩摩絣の単衣に袴をはいて、犀星はまた荒し廻つて歩くだろうと云つた。そして美という....