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「薫風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薫風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ましたが、どうもご眼力には恐れ入りやした」 すると、右門は縁側でひと吹き千両の薫風《くんぷう》に吹かれながら、湯上がりの足のつめをしきりとみがいていましたが、....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
※肩《ていけん》をやと、一つ、こう行くかな」 「そうおいでになったと、よろしい。薫風｜南《みんなみ》より来って、殿閣｜微涼《びりょう》を生ず。こう、ついでおけば....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
人の自慢――。 棕梠花のにおいと、入江の柔かな鹹風とがまじった、リオの秋をふく薫風の快よさ。で今、東海岸散歩道の浮カフェーからぶらりと出た折竹が、折からの椰子....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
『灰汁桶《あくおけ》』の巻について点検すると、なるほど前句「摩耶《まや》」の雲に薫風を持って来た上に「かますご」を導入したのは結構であるが、彼の頭にはおそらくこ....
「コーヒー哲学序説」より 著者:寺田寅彦
っていた子供心に、この南洋的西洋的な香気は未知の極楽郷から遠洋を渡って来た一脈の薫風のように感ぜられたもののようである。その後まもなく郷里の田舎へ移り住んでから....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
ろな他の気候的感覚についてもいわれそうである。俳句の季題の「おぼろ」「花の雨」「薫風」「初あらし」「秋雨」「村しぐれ」などを外国語に翻訳できるにはできても、これ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が来たものだという評判が、それからそれと伝わって、彼の現われるところ、おのずから薫風《くんぷう》の生ずる有様を如何《いかん》ともすることができませんでした。 ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ジブラルタルの夏の海をば というのだ。私が妻にこの話をすると、彼女は断髪を薫風に与えて微笑した。 夏ではないが、このへんはもう夏げしきである。ヨットも走....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
くは煙霧にかすみ、人はみどりに酔い、靴は炎熱に汗ばみ、花は蒼穹を呼吸し、自動車は薫風をつんざいて走り、自動車に犬が吠え、犬は白衣の佳人がパラソルを傾けて叱り、そ....
「雑記帳より（Ⅱ）」より 著者:寺田寅彦
るのではないか。そんなことを考えながら帝劇の玄関を下りて、雨のない六月晴の堀端の薫風に吹かれたのであった。 八 随筆は誰でも書けるが小説はな....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
った。毎日帰ると図画をかいた。私は教室で先生がまわって歩いて私の側に立たれると、薫風のようなものが側に来たような気がした。私は先生に殆んど口をきいたことはなかっ....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
。みゑ子が手離しで歩きだしたと言って笑い、転んだと言っては騒ぎ、家のなかはいつも薫風瑞雲が漂った。 みゑ子は、風邪一つひかないですくすくと育った。月日は夢の間....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
者を迎ふる雑沓の光景（第二図）より、やがて「吹屋町《ふきやまち》を過《すぐ》れば薫風《くんぷう》袂《たもと》を引くに似た」る佐野川市松《さのがわいちまつ》が油店....
「向嶋」より 著者:永井荷風
人ナキナリ。知ラズ我ガ※上ノ勝ハ桜花ニ非ズシテ実ニ緑陰幽草ノ侯ニアルヲ。モシソレ薫風南ヨリ来ツテ水波紋ヲ生ジ、新樹空ニ連ツテ風露香ヲ送ル。渡頭《ととう》人稀ニ白....
「武士道の山」より 著者:新渡戸稲造
美なりというもおろか、愛情はその目より輝き、その唇に震う。彼らの来るや、爽然たる薫風吹き渡り、彼らの去るや、吾人が心裡の暖気なお存す。学を衒《てら》わずして教え....