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薬代
「薬代〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薬代の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
は電燈代の心配もなく、気楽にカスタネットを鳴らしている。浪子夫人も苦労はするが、
薬代の工面《くめん》が出来ない次第ではない。一言にして云えばこの涙は、人間苦の黄....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
慣に従ってずいぶん大酒家であった。しかしいつごろからか禁酒同様になって、わずかに
薬代わりの晩酌をするくらいに止まった。酒に酔った時の父は非常におもしろく、無邪気....
「星座」より 著者:有島武郎
けてしまってからに、有頂天《うちょうてん》になっている。あんな病気を背負いこんで
薬代だけでもなみたいていでないのに、東京へ出かけようといってさらに聞かんのだ。俺....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
の、それにお國も己なんぞに惚れたはれたのじゃなく、お前が可愛いばッかりで、病気の
薬代にでもする積りで此方に持ち掛けたのを幸いに、己もそうとは知りながら、ツイ男の....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
けか医者は二日分ずつの薬をくれる、それも一つはかならず胃の薬である、金持ちの家は
薬代にも困らぬが、まずしき家では一日分の薬価は一日分の米代に相当する。お美代は毎....
「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
につれて来てその子達も親のやっかいになって育て居たけれどもたえまなくわずらうので
薬代で世を渡るいしゃでさえもあいそをつかして見に来ないのでとうとう死ぬにまかせる....
「旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
にくるんでいる三本のむちをもらうだけでいいのだがね、といいました。 「とんだ高い
薬代だの。」と、おばあさんはいって、なぜかみょうに、あたまをふりました。 それ....
「行雲流水」より 著者:坂口安吾
とも言わなかった。 「これよ。お前のお尻は可愛いゝお尻だよ。オヤジの寿命を養い、
薬代を稼いだ立派なお尻だよ。なにも恥じることはないさ」 まったく可愛いゝお尻だ....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
え奴だな、いくらか出せ!」 「へええお銭をでございますかな」 「あたりめえよ、膏
薬代だ」 「と云うと怪我でもなさいましたので」 「え、怪我? うん、したした! ....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
だけで一万九千六百なにがしさ。酒代はむろん別、そのほかに、新聞、煙草、甘いもの、
薬代、なにやかやの立替が三千いくら、入浴科は特別に只にしてある、めつたに風呂はへ....
「屋根裏の犯人」より 著者:坂口安吾
すから、家族の者だけが身体を洗って捨てるようなことはしません。妙庵先生は自分から
薬代を要求しない人ですから患者の方から見つくろって礼物をさしあげる。そこで伊勢屋....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
かりで、思うように行かない。今にも動けなくなる時が来そうな気がする。 それに、
薬代とか、氷代、炭代、赤ン坊の牛乳代など、倹約にしていれば二月位あるだろうと夫と....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
三十人ばかりありました。それはいずれも私が病気を診察をして薬を与えた人々で、その
薬代の代りに禁酒禁煙の約束を貰うたのでございます。一年も居りましたのでこの村で私....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
が悪いために呼吸器病の人が増加し、毎年千人に対して五人だけ多く死ぬとすれば、その
薬代と、診察料と、養生費とを計算するならば、我が大阪市のような都会においては実に....
「貧乏線に終始して」より 著者:小川未明
、医者は俥に乗って来る。その俥代を払はなければならず、そして、薬をもらいに行けば
薬代は払って来なければならぬ。 私は、その金がないばかりに、ある夜友達の許へ訪....