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薬玉
「薬玉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薬玉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
のね、さあ、これでいいの」彼女は柚木が本気に自分を見入っているのに満足しながら、
薬玉《くすだま》の簪《かんざし》の垂れをピラピラさせて云った。 「ご馳走を持って....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
煩《うる》さそうに叩きつけると、高い島田の根が抜けそうにぐらぐらと揺らいで、紅い
薬玉《くすだま》のかんざしに銀の長い総《ふさ》がひらひらと乱れてそよいだ。見たと....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、伊達巻をしめながら、襟を掻合わせ掻合わせするのが、茂りの彼方に枝透いて、簾越に
薬玉が消えんとする。 やがて、向直って階を下りて来た。引合わせている袖の下が、....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
に結って緋《ひ》鹿《か》の子《こ》の上を金紗《きんしゃ》でむすんでいた。つまみの
薬玉《くすだま》の簪《かんざし》の長い房が頬の横でゆれて、羽織をきないで、小さい....
「つぼみ」より 著者:宮本百合子
子を御仙さんは気をのまれたように立って見て居る。 そして、小さい声で、 「何故
薬玉さげて御おきゃはらないの」 ってきいたんで、 「あなたさげていらっしゃるの?....
「錦木」より 著者:宮本百合子
ぶりを批評しながらなごりおしげに桜の梢をふりかえりふりかえり女達は沢山かたまって
薬玉のようになって細殿の暗い方に消えて行く、一番しんがりの一群の男のささきげんで....
「ひな勇はん」より 著者:宮本百合子
ってお妙ちゃん、御きいちゃん、御ゆきちゃんこんな人達の居る部屋に行った。天井から
薬玉が下って畳に引くほど太いうちひもが色々な色に美くしく下って居る。どんな時に行....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
てゆく手をのぞくと……何もない。
ただ、黒い河水の表面に、南瓜《かぼちゃ》とも
薬玉《くすだま》とも見える円い物がひとつ動くとも漂うともなく浮かんでいるだけ――....
「道化役」より 著者:豊島与志雄
えるまで、私はただ彼女のお伴みたいに振舞ってしまった。そして卓子の上と彼女の帯の
薬玉《くすだま》模様とに、視線を往き来さしていた。 「私の気持、分って下すって…....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
りますし、小さな硝子の簪などは、幾本かを一緒に筒に立ててあります。大きな撮細工の
薬玉に、いろいろの絹糸の房を下げたのが綺麗です。赤や黒塗の櫛に金蒔絵したのや、珊....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の躾みで前褄を踏みぐくめた雪なす爪先が、死んだ蝶のように落ちかかって、帯の糸錦が
薬玉に飜ると、溢れた襦袢の緋桜の、細な鱗のごとく流れるのが、さながら、凄艶な白蛇....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
一条の房につないで、柱、天井から掛けるので。祝って、千成百成と言いました。絢爛な
薬玉を幾|条も聯ねたようです。城主たちの夫人、姫、奥女中などのには金銀珠玉を鏤め....
「草紅葉」より 著者:永井荷風
抜ける狭い横町であったがためだという話である。観客から贔屓《ひいき》の芸人に贈る
薬玉《くすだま》や花環《はなわ》をつくる造花師が入谷《いりや》に住んでいた。この....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
《おう》白色《はくしょく》常盤《ときわ》の緑を点綴《てんてつ》す。中央の太き柱は
薬玉《くすだま》および小旗を以《も》って飾られ、無数の電灯は四方《あたり》に輝き....
「日本のこころ」より 著者:中谷宇吉郎
東京の街路の雑沓《ざっとう》、「大吉《だいきち》」だの、両替《りょうがえ》だの、
薬玉《くすりだま》だのの看板が、軒ごとに並んでいた下町の姿は、単に懐古的な意味で....