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薬研
「薬研〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薬研の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ばかりいるようになってから、かれこれ半月にもなりましたかしら。……」
ちょうど
薬研堀《やげんぼり》の市《いち》の立つ日、お蓮は大きな鏡台の前に、息の絶えた犬を....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
った、赭ら顔の五十男が、恐ろしく憂鬱な表情をしながら、盛んに木の葉を乾かした奴を
薬研でゴリゴリこなしていましたが、助役の註文を受けると、早速緑色のテープを巻いた....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
っている窓の下の畳の一部は、トントンとやる度毎の足裏の摩擦でガサガサに逆毛立ち、
薬研のように穿くれていた。 二号室の男は、(断って置くが、患者が少くなってから....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ろう。 微笑みながら、一枚ずつ。 扉の方へうしろ向けに、大な賽銭箱のこなた、
薬研のような破目の入った丸柱を視めた時、一枚|懐紙の切端に、すらすらとした女文字....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
は別なもの、今の待合です。また貸席を兼ねたものです。当時水茶屋で名高かったのは、
薬研堀の初鷹、仲通りの寒菊、両国では森本、馬喰町四丁目の松本、まだ沢山ありました....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
と居士が言います。……榎は榎、大楠、老樫、森々と暗く聳えて、瑠璃、瑪瑙の盤、また
薬研が幾つも並んだように、蟠った樹の根の脈々、巌の底、青い小石一つの、その下から....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
は舳に立って、下りろ、危い、と声を懸ける。 実際魔所でなくとも、大崩壊の絶頂は
薬研を俯向けに伏せたようで、跨ぐと鐙の無いばかり。馬の背に立つ巌、狭く鋭く、踵か....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
、覚束ない。 けれどもその時、ただ何となくそう思った。 久しい後で、その頃|
薬研堀にいた友だちと二人で、木場から八幡様へ詣って、汐入町を土手へ出て、永代へ引....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
した風情がある。 ここは、切立というほどではないが、巌組みの径が嶮しく、砕いた
薬研の底を上る、涸れた滝の痕に似て、草土手の小高い処で、※々と墓が並び、傾き、ま....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
どうして?ッて、見たまえ、いつもは、手拭を当てても堰留められそうな、田の切目が、
薬研形に崩込んで、二ツ三ツぐるぐると濁水の渦を巻く。ここでは稲が藻屑になって、ど....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
…以前車の通った時も、空でないと曳上げられなかった……雨降りには滝になろう、縦に
薬研形に崩込んで、人足の絶えた草は、横ざまに生え繁って、真直に杖ついた洋傘と、路....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
見えなかった。空の星も晃々として、二人の顔も冴々と、古橋を渡りかけて、何心なく、
薬研の底のような、この横流の細滝に続く谷川の方を見ると、岸から映るのではなく、川....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
立も、森も、日盛に煙のごとく、重る屋根に山も低い。町はずれを、蒼空へ突出た、青い
薬研の底かと見るのに、きらきらと眩い水銀を湛えたのは湖の尖端である。 あのあた....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
。」 「はなして……よ。」 しかも、打睡るばかりの双の瞼は、細く長く、たちまち
薬研のようになって、一点の黒き瞳が恍惚と流れた。その艶麗なる面の大きさは銅像の首....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
町下りて、左の沢に入り込む。はじめの程は小さき平流なりしが、間もなく渓壑迫りて、
薬研を立てたるようになり、瀑布連続す。水姓氏は四、五貫の荷物を負えるに、危険なる....