薬箱[語句情報] »
薬箱
「薬箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薬箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
》を割る。飯を炊《た》く。拭き掃除《そうじ》をする。おまけに医者が外へ出る時は、
薬箱《くすりばこ》を背負って伴《とも》をする。――その上給金は一文でも、くれと云....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
さし出したのは手梱《てこおり》が一つ、ふろしき包みが一個、孫太郎虫呼び商いの
薬箱が一つ。 まず梱から手初めに調べました。着替えが二枚、帯が二筋、それっきり....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
人は小太刀、一人は木刀、いずれも腰に手挿んでいた。木刀を手挿んだ一人の方が、肩に
薬箱を担いでいた。一見お供と見えるけれど、話の様子では友人らしい。 木刀の主が....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
としての寛斎も診てよく知っている。馬籠の伏見屋から駕籠で迎いが来るたびに、寛斎は
薬箱をさげて、美濃と信濃の国境にあたる十曲峠をよく急いだものだ。筆まめな金兵衛は....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いねばりけのある汗がわく。その汗は病と戦おうとする彼の精神から出る。隣村山口から
薬箱をさげて通って来る医者|杏庵老も多くを語らないから、病勢の進みについては彼は....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
痢はさらなり、頭痛、眩暈、何ぞというと必ず定斎を用ゆる。 彼の炎天に青貝入りの
薬箱を担ぎ、抽斗の鐶の歩むたびに鳴るを呼び売りのしるしとする定斎やは、今も佐竹の....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ど同じ夜のことであった。 神田の諸人宿の奥まった部屋に、天野北山は坐っていた。
薬箱が置いてあった。 アルコールランプが置いてあった。 試験管が置いてあった....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
」 あと二分のちに、なにごとか起るのであろうか。まず、監禁室にのこしておいた火
薬箱が爆破するであろう。 だが、そればかりの爆薬で、あの堅牢無比の海底要塞が、....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
薬の鑵や、銃や、堅パンの嚢や、豚肉の小樽や、コニャックの樽や、私には何より大事な
薬箱などを積み込み始めた。 その間に、大地主と船長とは甲板に留まり、船長は舵手....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
が、用事でその部屋へいったとき、ベスが目をあかくして、カンフルの瓶を片手に持ち、
薬箱に腰かけているのを見ておどろきました。 「どうしたの?」と、ジョウが尋ねると....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
天幕には武器の類が順序よく並べて置かれてある。七十挺の旋条銃、一万個入れてある弾
薬箱、五十貫目の煙硝箱、小口径の砲一門、五個に区劃した組立て船、二十挺の自動銃、....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
った。 (卑怯な)と思い返して走って行った。 香具師――それも膏薬売らしい、膏
薬箱を胸へかけた男が、右の胴から血を流し、その血の中に埋もれて居り、そうした死骸....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
中々立てそうもない。やっと我慢して這いながら室の隅まで行って、壊れた棚から一つの
薬箱を取り出して呑むと、少しは心地よくなったので、まず一番手近な山本を抱き起して....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
たまえ。 ワーニャ 何も取りゃしないというのに。 アーストロフ いいや君は、僕の
薬箱のなかから、モルヒネの壜を取ったんだ。(間)いいかね、君がもし、どうあっても....
「海のかなた」より 著者:小川未明
は、唄うたいとなりました。かつて、おじいさんがそうであったように、脊中に、小さな
薬箱を負って、バイオリンを弾きながら、知らぬ他国を旅して歩いたのです。 入り日....